バース、掛布、岡田の甲子園バックスクリーン3連発に残された謎
阪神は17日に甲子園で行われた対巨人戦で球団創設80周年のイベント「LEGENDS DAY」の第1弾として「伝説のバックスクリーン3連発」のスペシャルセレモニーを行った。4月17日は、阪神ファンにとって忘れられない記念日。1985年の同じく巨人戦で、7回に4年目の槙原寛己氏から3番のランディ・バース氏(61)、4番の掛布雅之氏(59)、5番の岡田彰布氏(57)が、3者連続のバックスクリーンアーチを放ち、21年ぶりの優勝を象徴するような伝説のゲームとなった。 この日は、米国在住のバースまでが来日。試合前のセレモニーでは、ナインがベンチ前に並び、バックスクリーンには、当時のオーダーとスコアが掲示された。「3番・ファースト、バース」……から順番にウグイス嬢による選手紹介がコールされ、当時の背番号をつけたユニホーム姿の3人が登場すると、スタンドの応援団からは、懐かしいコンバットマーチが流され、3人は、同時に始球式を行った。また7回には、バルコニーから、ジャケット姿に着替えていたバース氏、掛布氏、岡田氏の3人がファンの声援に手を振った。 30年も経過して、もう忘れたファンも多いのだろうが、実は、あの3連発には多くの謎が残っている。ひとつはバックスクリーン3連発ではなかったという事実。1-3で迎えた7回2死一、二塁から、まずは「あの年は開幕から(調子が)スローだった」と、開幕から打率.167と絶不調だったバース氏が逆転3ラン。続く掛布氏が、カウント1-1からストレートをとらえて、センターのクロマティが背走しながら打球を見送ったが、正確にはバックスクリーンではなく、その境目から左のスタンドに飛び込むホームランだったのだ。 「映像をよーく見てもらえればわかるが、確かに僕のホームランはバックスクリーンに入っていないんだよね(笑)。でもバックスクリーン3連発という響きがいいからね(笑)。もうバックスクリーン3連発でええやんという阪神ファンのノリでそうなったのでしょう。バックスクリーンに入ればもらえる賞金、確か10万円ほどだったと思うけれど、それももらいましたよ(笑)。あの打席は、ホームランを狙っていたわけではなく、バースの逆転3ランで、興奮している球場を落ち着かせようと、カーブ、ストレートと2球を見送った。打った瞬間は、スタンドまで届くとは思っていなかった」とは掛布氏の証言だ。 実は、3連発は、阪神の歴史だけでも9度あり、そう珍しいことではない。今なお語り継がれるのは、3本ともにバックスクリーンだったというスペシャル感だったのだが、そこに精密さを求めなかったのも、楽しいこと好きの関西気質だったのかもしれない。