プロアマ雪解け協議開始へ。東京五輪参戦は井上尚弥ら現役王者でなく内山高志、山中慎介ら引退選手へラブコール?!
日本プロボクシング協会の臨時理事会が1日、東京の後楽園飯店で行われ、山根明会長の辞任により体制が刷新されたアマ側の日本ボクシング連盟と“プロアマ雪解け交流”についての協議をスタートさせることを発表した。プロ側は、プロアマ問題に関する対策委員会を設置。委員長に、アマ側の内田貞信新会長と近大ボクシング部の同期である柳光和博氏(RK蒲田ジム会長)を任命、他に3人の理事が委員となり、協会の各地区にも担当者を置き、早ければ今月下旬からアマ側との雪解け交流についての協議をスタートする。 両者の協議の中では、アマ側が、参加者の高校、大学でのアマ登録を禁じるなどの処置を行い問題となっていたU-15大会の整理や、アマの有力選手のプロへの引き抜き禁止や、逆にプロ引退選手のアマ指導者資格の復帰などについてのプロアマ間の協定作りなどが話し合われるが、焦点の一つとなるのが、プロの五輪参加問題だ。 先日、東京五輪出場を目指す元世界ミニマム級の4団体王者である高山勝成(名古屋産大)のアマ登録を認めることをアマ側が発表。国内五輪選考への参加の道が開けた。だが、現段階では、まだプロ経験者のアマへの現役復帰は認められておらず、まして、現在、プロライセンスを持っている選手の五輪参加についても禁止されている。 AIBA(国際ボクシング協会)はリオ五輪からプロの参加を解禁。元IBF世界フライ級王者で、井岡一翔に勝ったアムナット・ルエンロン(タイ)や、村田諒太がタイトルを奪った元WBA世界ミドル級王者のアッサン・エンダムがカメルーン代表として出場したが、WBCやIBFが安全性を問題視して参加する選手にペナルティを課すなど、各国のプロ統括組織が参加に反対。日本はプロ側が方針を示すまでもなく山根前会長がプロ解禁を認めなかった。 だが、連盟の内田新会長は、プロ解禁の考えであることを表明。プロに五輪参加の門戸が開かれる方向だが、この日、柳光委員長は、「前向きにアマ側と手を組んで取り組んでいきたい。だが、五輪参加については、そもそも五輪がどうなるか未定ですし、現役選手というよりも、引退した亀田選手や、内山選手や、山中選手らに挑戦してもらえば、盛り上がるのではないでしょうか。今後、JBCの意見を聞く必要もあります」との見解を示した。 この日の理事会では、プロとアマではルールやファイトスタイルが大きく違うことや、世界王者クラスが国内選考会に参加した場合、レベルの違いによって起きる怪我などが危惧され、安全性を問題視する意見が多く出て、現役のプロ、まして世界王者クラスの参加には、消極的な姿勢であることが明らかになった。 可能性があるとすれば、柳光委員長が口にしたように五輪予選に参加することへのリスクを負わない引退選手になるだろうという見立て。あくまでも“ラブコール”として元3階級王者の亀田興毅氏やアマ時代に五輪出場を目指していた元WBA世界スーパーフェザー級王者の内山高志氏、元世界バンタム級王者で今年3月に引退したばかりの山中慎介氏らの名前が挙がったが、WBSSに参加しているWBA世界バンタム級王者の井上尚弥(大橋)ら現役世界王者の東京五輪参戦の可能性はほぼなくなった。