いびきで“睡眠離婚”や避難所ストレス…身近な社会問題にどう向き合うか?
睡眠時に寝室を分けて寝る「睡眠離婚」
人生の3分の1から4分の1の時間を占める睡眠。健康維持には欠かせないものだが、睡眠時のいびきに悩む人は少なくない。 今年7月、米国の睡眠医学会が公表した2005人を対象にした調査がある。睡眠の際、パートナーと調整していることはあるかという問いに、20%が「たまに別の部屋で寝る」、15%が「常に別の部屋で寝る」と回答。合わせると約3分の1の人たちが寝室を分けて寝ることを選んでいた。寝室を分けなくても「耳栓を使う」が15%、「静音アラーム時計を使う」も16%いた。 同学会ではパートナーが寝室を分けて寝る現象を「Sleep Divorce(睡眠離婚)」と呼んでいる。大きな要因と見られるのがいびきだ。
いびきは寝ている間に発生する。本人は気づきにくいが、周囲の人は睡眠が妨げられる。声をかけて起こしても、すぐ再開することも珍しくない。また、いびきを恥ずかしいと思う人が多いため、親しい関係でも本人に伝えにくいという悩ましさもある。一方、快適な睡眠が日常的に阻害されると、睡眠障害(不眠症、過眠症など)に発展する可能性があり、健康問題にも直結する。 40代になってから自分のいびきを自覚した人もいる。福岡在住で人材育成支援を行う長谷川久美子さん(仮名、46)は、自分のいびきの音に驚いて目が覚めることが1カ月に3、4回ある。 「自分がいびきをかいている夢や、グウーという音が聞こえる夢を見て、はっとして目が覚めると自分のいびきなんです」 20代で2人の子どもを出産し、産後に10キロ以上体重が増えた。自分のいびきに気づいたのは4、5年前だ。夫は単身赴任で、子どもたちも別の部屋で寝ているため、いびきで周囲に迷惑をかける状況ではない。
ただ最近、心配になる出来事があった。国内の出張先でホテルが取れず、ドミトリータイプの宿泊施設に泊まった時のこと。上下合計8つのベッドが並んでいる部屋で、長谷川さんは深夜、自分のいびきで起きてしまった。 「隣のベッドの人もいびきをかいていましたが、申し訳なくて……。その後は心配でほとんど眠れませんでした」 もともと眠りが浅く、夜中に3、4回、目が覚める。医療機関の受診を考えることもあるが、耳鼻科なのか睡眠外来なのか、どの診療科に行けばいいのか分からず、何となくあきらめている状態だ。