プロ野球開幕決定も球団の経営危機脱出に立ちはだかる野球協約の壁
新型コロナの影響で、企業の経営破綻や個人商店が潰れたニュースが目立つようになっている中、協約で守られている自分たちが、高額年俸を主張するのは心苦しい。かといって個人事業主のプロ野球選手のほとんどが1年契約である。結果が出せず、或いは、大けがでもして、今年1年でユニホームを脱がねばならなくなる可能性だってある。そう考えると、世論に流され、せっかく協約で守られている権利を放棄する必要があるのか、との考えが浮かぶのも当然だろう。 メジャーリーグでも、再度の削減案提示に、レイズのブレイク・スネル投手が「給与が支払われないのであればプレーしない」と反対意見を述べ、選手会も、抵抗するなど年俸削減に反対する動きが出ている。 元ロッテの評論家、里崎智也氏は、こんな提案をした。 「僕も統一契約書を読み返しましたが、確かに今回のような世界的な問題が起きたとしても一度サインした年俸を下げられることはありません。ただ、それを盾に年俸削減に応じなければ、来年の契約更改に反動がくるでしょう。バサッと下げられますよ。球団経営が苦しくなることは間違いないわけですから、選手側は話し合いには応じるべきだと思います。今年と来年の契約をセットにして考えればどうかと考えます。”今年の年俸削減には応じますが、来年の契約は、どんな結果であろうと何%以上は下げられませんよ”という2年セットで新たな約束事を結んでおくのです。現状の野球協約では、1億円を超える選手は40%以上、1億円以下の選手は25%以上、下げられないことになっていますが、このパーセンテージをもっと抑えておけば、来年は経営状態も回復するでしょうし、トータルで見れば、互いにリスクは減るのではないでしょうか」 これも一案。経営難を乗り越えるために削減案を呑むにしろ、選手側からすれば、リスクを回避しておく必要はある。 早急に12球団と選手会は、膝をつきあわせて年俸に関する労使交渉を行い、野球協約の壁を乗り越え、新型コロナ危機を乗り越える戦いを共闘すべきだろう。