チャイ、バインミー、トルコスタイル――名古屋の「朝」を賑わす、異国風モーニングがアツい
喫茶店でのモーニングは名古屋名物。いまでは外国人経営のレストランの中にも、モーニングを出すところが増えてきた。そんな店が、地元住民と外国人との交流の場になっている。インド、ベトナム、トルコ、三者三様の朝の様子を、名古屋で取材した。(ジャーナリスト:室橋裕和/撮影:菊地健志/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
朝のインド料理店に集まる、日本の老人たち
名古屋市港区・地下鉄東海通駅のそば、朝8時30分。店内はもう、近所のお年寄りで賑やかだ。トーストとサラダ、それにゆで卵を食べながら、今朝も世間話に花が咲く。名古屋名物モーニング……と思いきや、ここは喫茶店ではない。インド料理レストランなのである。近藤順子さん(82)が飲んでいるのは、コーヒーではなくチャイだった。南アジアで広く愛されているミルクティーだ。 「おいしいよ、体にいいしね」 「シナモンとかジンジャーとかたくさん入ってますから」 店主のインド人、アローラ・プリタムさん(47)はそう言って、チャイのおかわりを注ぐ。
「あれアローラ、あんた髪切った? さっぱりしたなあ」「昨日、いつものとこで」 常連のお年寄りたちと会話を交わしながら、アローラさんは厨房にいる相棒のシン・チャッターさん(53)と手分けして、手早くモーニングのセットをつくっていく。このお客はトーストの耳をカット、こっちはジャムをたっぷり、この人はチャイではなくコーヒーをゆっくり楽しんでからトーストとサラダを出す……。
「みんなの好みをちゃんと覚えててくれるの」「年寄りを大事にしてくれるしねえ」 ほとんど毎朝来るというおばちゃんたちが、口々に教えてくれる。アローラさんはちょっと照れくさそうに言う。 「まあ、家族みたいなもんだから」
みんな毎朝、必ずやってくる
中日スポーツが置かれ、インドの映画ポスターと日本の生ビールのポスターが同居する、なんとも不思議なたたずまいのインド料理レストラン『デリーパレス』が、モーニングを始めたのは2017年のこと。