アメリカで「ピックルボール」大流行に納得の理由、週末の公営テニスコートは愛好家がほとんど占拠、プロ選手がいて“メジャーリーグ”も存在
12月の週末にカリフォルニア州の公営テニスコートを訪れると、朝から「パコ、パコ、パコ」という音があちこちで響き渡っている。よく見るとテニスボールではなく、黄色いプラスチックのボールを、卓球のラケットに似た形状のパドルで老若男女が打ち合っている。 【写真】ピックルボールで使う“ボール”はこんな感じ 日本では珍しい光景だと思うが、実はこれ、近年、アメリカで人気急上昇のピックルボールというスポーツだ。週末ともなれば、多くの公営テニスコートがピックルボール愛好家にほとんど占領されてしまう。
テニスコート1面があれば、青テープを地面に貼って区切り、バドミントンコートと同じぐらいのコートを4つ作ることが多い。ネットは通常のテニスのネットより少し低い専用のものを使う。ダブルスで、11点先取したほうが勝ち、というルールだ。 ■パワーでねじ込むよりも忍耐力が必要 ボールがプラスチック製でしかも複数の穴が開いているため、テニスのように球が弾むわけではない。プレーヤーが走る距離は、テニスよりかなり短くて済む。
テニスと大きく違うのは、ネットをはさんでそれぞれ2.1メートル幅の「キッチン」と呼ばれる区画が存在することだ。このゾーンでは基本的にボレーは禁止で、ボールをバウンドさせる必要がある。つまり、ネット際ではパワーでねじ込むというよりも、ラリーを続ける忍耐力が求められる感じだ。 子どもから80代の高齢者までさまざまな年代の男女が共にプレーを楽しめるのも、このキッチンの存在が大きいといえる。 パドルの価格は20ドルぐらいからスピンショットが打ちやすい300ドル以上の高級品までとさまざまだ。
「仲間と一緒に週に3~4回はプレーしている」と語るのは、ユタ州在住で、カリフォルニアのピックルボールの試合会場に見学に来るほど入れ込んでいる40代の女性、カミ・ランゼンバーガーさんだ。 コロナ禍直前にたまたまピックルボールにハマり、それ以来夢中になったという。今では地元の女性たちとチームを組んで、ユニフォームを作り、試合にも参加するほど熱中している。彼女の友人は、いつでも練習できるようにと、自宅にピックルボールのコートを作ってしまったほどだ。