今年は巳年! ヘビに縁のあるクルマ - ダッジ「バイパー」
2025年の干支は巳。巳年の始まりを記念して(?)、「ヘビに縁のあるクルマ」を何台か取り上げてみたい。今回はダッジ「バイパー」というクルマだ。「バイパー」(viper)は「毒ヘビ」を意味する言葉だが、そんなに危険な乗り物だったのだろうか? 【写真】縁起がいいのか悪いのか…巳年の始まりに毒ヘビ・ダッジ「バイパー」の写真を見る
■ダッジ「バイパー」ってどんなクルマ? ダッジ「バイパー」は「ACコブラ」を現代によみがえらせたクルマといっても過言ではない。なぜなら、そのコンセプトこそ「現代版コブラを生産しよう」というものだったからだ。開発メンバーにはACコブラの生みの親であるキャロル・シェルビーが名を連ねた。 バイパーはアメリカの自動車メーカー「クライスラー」の一部門である「ダッジ」が1992年から2017年まで製造していたマッスルカーである。そのうち2013年と2014年は「SRT」が手掛けた。 1980年代、アメリカ車のマッスルカーといえばシボレー「コルベット」一択だった。かつてはダッジやプリマスなどでさまざまなマッスルカーを作っていたクライスラーが、この市場に再参入すべく1988年末に構想を始めたのがバイパーだ。1989年の「デトロイトオートショー」でプロトタイプをお披露目すると爆発的な人気を収めたことから、生産を決定した。 このプロトタイプはV型8気筒エンジンを搭載していたが、市販バージョンではランボルギーニにも協力を仰ぎ、8リッターのV型10気筒エンジン(最高出力450ps)を採用した。ちなみにランボルギーニは当時、クライスラーの傘下にあった。それもエンジン開発に携わった理由であると思われる。 1991年12月、ついに「バイパーRT/10」がデビューを果たす。1995年にはコブラのクーペタイプ「デイトナコブラ」を彷彿とさせる「バイパーGTS」も登場。クライスラーの思惑通り、市場では大きな反響を呼んだ。 2002年にはエンジンの排気量を8.3リッターまで増やし、最高出力を517psまで向上させた「バイパーSRT/10」に進化。その後も特別仕様車などが続々とデビューする。究極は2008年に登場した「ACR」(アメリカンクラブレーサー)と呼ばれるスパルタンな仕様のバイパーだ。専用のエアロパーツやサーキット走行を意識したサスペンションなどを装着し、さらなる軽量化を遂げたタイプも存在した。そのクルマはニュルブルクリンクで7分22秒1を記録。2012年には「バイパーACR-X」が7分3秒058を記録し、当時の世界最速の量産市販車となったのである。 その後は一時的に生産が途絶えるものの、バイパーは3世代を生き抜き、2017年まで生産が続いた。
■ 内田俊一 うちだしゅんいち 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験をいかしてデザイン、マーケティングなどの視点を含めた新車記事を執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員。
内田俊一