「貯まらない家」のキッチンにありがちなもの。“丁寧な暮らし”の落とし穴とは
「丁寧な人や生活」に憧れ、目指す必要はない
便利家電が次々と登場する一方で、オーガニックフードへの関心が高まり、手づくりみそや梅仕事といった、あえて手をかける食文化も復活しています。手づくりの梅酒を保存するビンや、手づくりみそを入れるための樽などが必要になってきますが、買ったものの使いこなせていないという人も、意外といるのではないでしょうか。 日々の時間に追われず、料理や掃除を丁寧にやり、毎日をゆったりと暮らす――。そんな生活ができたら理想ですよね。趣味で行うにも、健康にもとてもいいと思いますし、楽しんでできる方は、どんどん行っていただきたいです。ただし気をつけたいのは、「本当に自分がやりたいこと?」とひと呼吸して考えること。 片づけの仕事をしていて感じることがふたつあります。ひとつは皆さんだれもが、豊かで丁寧な暮らしをしたいと思っていること。これは本当にすばらしい考え方だと思います。そしてもうひとつが、その「丁寧な暮らし」が、プレッシャーとなっているケースが多いということです。 きちんとした毎日を送るために買ったものを現実の生活の中に落とし込めず、使いきれていない自分に罪悪感を抱いている方が少なくありません。いつの間にか「したい」という憧れや希望が、「しなくては」というプレッシャーになって、それに気づかないまま、苦しんでしまっているのです。これは、非常にもったいないことだと思います。 この時代、仕事、育児、家事、介護など、ご自身のことに加えて忙しい事情がたくさんあると思います。いくつかのライフステージが重なっている方もいらっしゃるでしょう。 だとしたら余計に、「キッチンはシンプルに」を心がけてみてほしいのです。食材や調味料、食器、調理器具は、数を絞ってみれば案外なんとかなるものです。ちなみに私は炊飯器とオーブントースターをもっていません。お米はお鍋で炊けますし、パンはフライパンで焼けます。 片づけの専門用語でものが使いやすい場所を「ゴールデンゾーン」と呼びますが、じつはキッチンは、このゴールデンゾーンが意外に少ない場所。だからこそ、場所と空間のコスパを意識して、快適にしていきましょう! 「便利そうだから、すてきだから、買う!」の前に、快適に暮らすために本当に必要なものなのか考える習慣をつければ、“貯まらない人”から“貯まる人”になっていきます。
ESSEonline編集部