中央構造線で体験した“最初の地震” やっぱり難しい? 地震予知
14日夜の発生以来、熊本県の熊本、阿蘇、大分県中部と震源の領域を広げながら、余震が続く熊本地震。地震学者の島村英紀・武蔵野学院大学特任教授は、本州から九州を横断する大断層「中央構造線」上で日本人が体験した最初の地震だと指摘します。当初の「本震」が「前震」に見解が変わるなど、これまでの経験則が必ずしも当てはまらない今回の一連の地震。「いつ・どこで・どれくらい」の地震が起きるかを予知することは、やはり難しいのでしょうか。島村氏の解説です。 【写真】当たって当たり前?「MEGA地震予測」を科学的にどう見るか
震度7の「本震」が「前震」に変わる
気象庁は4月16日未明の会見で、いままで本震だと思っていた震度7でマグニチュード6.5だった14日夜の地震が、じつは「前震」で、震度6強でマグニチュード7.3だった16日未明の地震を本震であるとの見解を発表しました。 始まりは4月14日の夜、熊本県益城町(ましきまち)で観測された震度7の地震でした。震度7は、1949年に新たに気象庁が導入して以来、3回しか記録されたことはありません。今回のものは2011年に起きた東日本大震災(地震の名前としては東北地方太平洋沖地震)以来5年ぶりで4回目です。 ただし、震度計は停電だと動作しないので、16日の地震では、14日に震度7を記録した益城町の役場に置いてある震度計は停電で止まっていました。家屋の倒壊状況を調べた研究者は、この16日の地震も震度7だったのではないかと言っています。 ちなみに、震度7とは、日本の震度階では最高レベルです。つまり「青天井」でどんな大きな揺れでも震度7なのです。
「双子型」「群発型」地震になる?
4月16日に起きた地震のM7.3は内陸直下型地震としては最大級で、たとえば阪神淡路大震災を引き起こして6400名以上の犠牲者を生んだ兵庫県南部地震と同じ地震の規模です。 気象庁は、このM7.3の地震を「本震」とし、前に起きたM6.5の地震と、16日のM7.3の地震の前までに多数、起きていた余震を、すべて「前震」とする、と発表したわけですが、これは後から大きな地震が起きてしまったので、慌てて、この地震を「本震」としたのです。前震は「オレが前震だよ」と言って起きてくれるわけではないので、起きた地震で区別することは出来ません。 地震のほとんどは「本震・余震型」と言われるタイプですが、そのほかに「双子地震」や「群発地震」もあります。今回は、はじめは本震・余震型だと思われていたのですが、私は双子地震ではなかったかと思います。つまり、本震なみの大きな地震が二つある地震のことです。あるいはこれからの地震活動の推移によっては、大きな地震が3つ以上ある群発地震型になるかも知れません。