中央構造線で体験した“最初の地震” やっぱり難しい? 地震予知
内陸直下型地震で1580ガルの加速度
また内陸直下型地震の特徴の一つとして、地面にかかる加速度が大きかったことがあります。地震の時に建物や橋などの物体にかかる力は、そのものの重さに「加速度」をかけ算したものになります。つまり加速度が大きいほど、そのものに大きな力がかかって、場合によっては倒壊したり破損したりするのです。 今回の益城町での加速度も1580ガルを記録しています。かつては「重力の加速度」である980ガルを超える地震動はあるわけがない、と思われていたのですが、岩手宮城内陸地震(2008年、M7.2)や新潟県中越地震(2004年、M6.8)をはじめ、各地に起きた内陸直下型地震では、軒並み980ガルを超えて、大きいものは4000ガルを超えたものもあります。980ガルを超えるということは、たとえば地面の上にある石が飛び上がることを意味します。つまり、大変な加速度なのです。 実は、各地の原子力発電所は、ここまでの加速度を想定していないのです。いままでの設計基準ではせいぜい500~700ガルなので、それを超える地震の加速度に襲われたときに、いったい何が起きてしまうのかが心配です。
長野から鹿児島まで横断する「中央構造線」
熊本で始まった地震は、その後、北東の方向と、南西の方向に延びていっている状態です。北東方向には阿蘇山の近くで大きな地震が起き、その後は県境を超えて大分県でも大きな地震が起き始めています。また南西方向でも、益城町の南西にある宇土市や八代市の方でも地震が起き始めている。 これは、起きている地震が、日本最長の活断層群である「中央構造線」で起きていることと関係していると思います。長野県から名古屋の南を通り、紀伊半島を横断して、四国の北部を通り、大分から九州に入って、熊本・鹿児島まで至っている長大な活断層が中央構造線なのです。 この中央構造線は、地質学的な証拠から、過去数千回以上にわたって地震を繰り返し起こしてきたことが分かっている活断層です。その結果として、たとえばその南北で別の岩が接していたり、この活断層を境にして山脈や川筋が食い違っています。これはこの活断層に沿って繰り返して起きてきた地震の結果なのです。