元大関・貴景勝 「頚椎椎間板ヘルニア」と相撲協会が公表 症状・原因を医師が解説
頚椎椎間板ヘルニアの予後と予防
Q.頚椎椎間板ヘルニアを早く治すにはどうしたら良いですか? 甲斐沼先生: 早く治すには、まず頚部の安静を保つことです。頚椎カラーを装着して安静を保つ場合が多いです。そして、安静といってもずっと寝てばかりいることではありません。それでは筋力が落ちてしまい、逆に首の安定性を保つことができなくなってしまいます。 首周りの筋力保持のために、医師や理学療法士の指示の下で適度な運動を行うこともあります。症状がひどい場合は、手術を選択することが一番の近道となる場合もありますので、医師と十分に方針について話し合いましょう。 Q.日常生活で気を付けるべきことを教えてください。 甲斐沼先生: 日常生活では、原因となる行動を避けて、首に負担をかけない生活を送ることが重要となります。激しい動きのあるスポーツ・パソコンを使用した長時間のデスクワーク・長時間のスマートフォンの使用は避けましょう。 重い荷物を運ばなければならない場合は、腰を曲げてかがむと首も一緒に曲げてしまい負担がかかるので、膝を曲げてかがめば首に負担がかからずに持ち上げることが可能です。特に加齢の変化が起きやすい30~50歳代の人はこれらの行動に気を付けることが大切です。 編み物・草抜きなども下を向く姿勢となるので、長時間にならないよう気をつけてください。新聞・テレビを見るときは、水平よりやや下(10度程度)を向く視線がよいでしょう。 また、高めの枕を使用している場合は、バスタオルなどを使用してなるべく低めの枕に変えましょう。 Q.頚椎椎間板ヘルニアを予防する方法・痛みを和らげる方法は? 甲斐沼先生: 頚椎椎間板ヘルニアを予防するには、まず姿勢を改善することが重要なポイントとなります。正しい姿勢を維持するためには、骨盤などの身体の歪みを正すだけでなく、身体を支えるための筋肉も必要です。 医師・理学療法士の指導の下で、首周りの筋肉を鍛えるストレッチ・ウォーキングなどを行います。ジョギングは、首が揺れて負担がかかってしまうため避けましょう。 強い痛みを和らげる方法として、頚椎カラーがあります。頚椎カラーは、頚椎の安定性・安静を維持することができるので、痛みの軽減に繋がります。 鎮痛剤を内服して痛みを和らげる場合もあり、それでも痛みが強い場合は医師に相談し、神経ブロック・牽引療法などの方法を検討してもらいましょう。 Q.最後に、読者へメッセージをお願いします。 甲斐沼先生: 頚椎椎間板ヘルニアは、首の痛み・手足の痺れが初期症状です。これらの症状が出始めた場合は、早めに整形外科を受診して診断を受けましょう。 症状の原因が早期にわかれば治療の選択肢も多いですが、病気が進行してしまうとその選択肢も少なくなります。一人で悩まずに早めに専門の医両機関を受診することをお勧めいたします。