専用設計のV型パワーユニットを得た、孤高のドラッガーエリミネーター250V
独自の「ドラッガー」コンセプトによって高い人気を誇った「エリミネーター」は、カワサキを代表する車名のひとつであると言える。このエリミネーターシリーズ唯一のV型エンジン搭載車となるエリミネーター250Vは、アメリカンバイクブーム最中の1998年に市場に投入された。 【画像】エリミネーター250Vのディテールと関連モデルをギャラリーで見る(24枚) 文/Webikeプラス 後藤秀之
アメリカンブームの中、Vツイン250を各社ラインナップ
1990年代、ネイキッドブームに続いてアメリカン(クルーザー)バイクのブームがやってきた。アメリカンバイクの代名詞はハーレーダビッドソンであったが、免許の問題や価格の高さで手が届かない若者も多く、彼らは国産のクルーザーモデルをカスタムし始めた。このアメリカンカスタムブームの起爆剤のひとつとなったのは、1991年に公開された映画「ハーレーダビッドソン&マルボロマン」で、主演のミッキー・ロークが駆ったハーレーダビッドソンFXRSのカスタムだろう。当時カスタムバイクショップはこぞってこのレプリカをスティードなどをベースに作り、実際に街中でも数多くこの「マルボロマン仕様」と呼ばれたカスタムを見かけた。 1988年に発売されていたホンダのスティードは、カスタムベースとしての良さを見出されて急激に売り上げを伸ばした。スズキのイントルーダーやヤマハのドラッグスターなどVツインエンジンを搭載した中型の新型モデルを投入。カワサキはクルーザーというよりもドラッグレーサーのイメージで作られたエリミネーターシリーズを1980年代から展開していたが、Vツインエンジンを搭載した本格的なクルーザーモデルであるバルカン400を1995年に国内市場に投入した。 さらに各社は400ccモデルについで250ccクラスにニューモデルを投入し始める。ちなみに、このブーム以前にVツインを積んだ250ccクラスのクルーザーは、ヤマハのビラーゴ250くらいしか無かった。ホンダはVツイン マグナ、ヤマハはドラッグスター250、スズキはイントルーダーLC250と各社Vツインエンジンを搭載したモデルをラインナップ。カワサキも当然バルカン250を投入すると思われたが、このカテゴリーに投入されたのは新設計の水冷Vツインエンジンを搭載したエリミネーター250Vであった。