日本とイタリアでこんなにちがう「収納」事情。ものは捨てず、オシャレなゴミ箱は不要
イタリアの家がステキな理由は「収納」だった
「ものを捨てない」ということに注意して、イタリアの家を観察してみると、ステキな家がステキである理由は簡単だった。結局、「収納」なのだ。 イタリアの人たちは、部屋の広さを多少犠牲にしてでも、扉がついた収納を確保する。そして、見えてほしくないものは扉の中に隠し、見せたいものだけを出しておく。 わかりやすい例が、ゴミ箱だ。イタリア家庭でのゴミ箱の定位置は、キッチンの流しの下にある扉の中だ。家の中でそこにしかゴミ箱を置かないから、ゴミを捨てるときはいちいち流しまで行き、扉を開けて捨てなければならない。少し面倒でも、見せたくないものは隠しておくのだ。出しておけるように、オシャレなゴミ箱を買うという発想はない。だってそんなの高いし、オシャレじゃないなら見えるところに置かなければいいだけの話だから。
日本では難しい「見えないところに隠す」収納
この「見えないところに隠しておく」ことが、日本の家では難しかったのだ。 高温多湿の日本では流しの下にゴミ箱を置きにくい。さらに、日本の実家や夫と暮らしていたアパートは、壁や床の素材の都合で大きな収納を設置することが難しかった。そのため、どうしても見えてほしくないものがはみ出してしまった。そして、きっとそんな環境だからこそ「オシャレ=引き算」説が推奨されるのだろう。 「ステキな部屋は、いいものを少しだけ置いた部屋」という私の思い込みは、日本の収納事情からきていたのだ。実践してわかったけど、「最初から隠さなくてもいいものだけを持つ」という発想は適度なら美しいけれど、やりすぎると疲れてしまう。
「いいものを少し持つ」のはやめた
一方イタリアでは、古くても使えるものは捨てずにとっておく。お金にシビアな人が多いから「いいもの=高いもの」を買う人は少なく、適当にものを買って長く使う。もし、見た目が気に入らないなら隠しておけばいいだけだ。 このことに気づいてから、「いいものだけを少し持つ」という考え方はやめた。今はあまりものは買わないし、捨てない。必要なら、楽しく使えるものを適当に選ぶ。そして、使わないときは仕舞っておく。 ストイックな考え方を手放したら、だんだん自分にとっての心地良さが見えてきた。まだまだ理想には遠く、物置もベッドの下もぎゅうぎゅうだけど、はみ出してはいない。でも、それでいい。それでも十分居心地のいい部屋に近づいた気がするから。
ESSEonline編集部