「ずばり、ジュガード」スタバ、Google…“インド出身CEO”が世界の大企業を席巻している理由【亀田製菓会長が分析】
苦しくてもプレッシャーをかけ続ける
40年日本で暮らし、日本に帰化もしているジュネジャ氏。亀田製菓を世界に知らしめることが、日本社会に貢献することだと、使命を感じている。そのなかで、若い社員たちに常に言っていることが2つあるという。 「ありきたりですが、指示待ちの人間にならないこと。新人には上司からたくさんの指示があるでしょう。それは指示ですから、きちんとやらなければいけない。けれどそれ以外に『自分に何ができるか』を考えることです。自分がどんな商品をつくりたいか、それをどう売りたいのか、ひいては自分はどんなキャリアを描いていきたいのか、常に未来を描き、自分から動いていく人が成功できるのです。 もうひとつは、深掘りすること。私は研究者でもありますが、Researchとは文字通り『再び調べる』ということ。何度も何度も調べて深掘りすれば、きっとイノベーションを起こせるはずです」 最後に、ジュネジャ氏はこう呟いた。 “Pressure makes diamonds.” 「圧力がかると、炭素はダイアモンドに変わります。同じ場所で同じ仕事を続けるのではなく、常に自分にプレッシャーをかけて新しいことに挑戦する。苦しいことですが、成長はそれでしかあり得ません。そうして磨かれていくのです。日本の皆さん、今すぐ、コンフォートゾーンから抜け出してください」 日本の伝統菓子の老舗メーカーである亀田製菓。その社員たちは今、ジュネジャ氏のもと、世界中を飛び回っている。海外に出るなど、考えもしなかったベテラン社員たちもまた、その変化に対応して成長を遂げているのだという。 「真っ黒い炭素のままでいたいですか? それともダイアモンドになりたいですか?」 そう微笑むジュネジャ氏の言葉から、今の日本に足りないものを見つけた気がした。 ジュネジャ・レカ/Lekh Juneja 1952年インド・ハリヤナ州出身。1984年大阪大学工学部に研究生として入学。1989年太陽科学入社。2003年に代表取締役副社長に就任。2014年にロート製薬へ移り取締役副社長に。ロート製薬子会社の社長なども務め、2020年に亀田製菓へ副社長として入社。2022年代表取締役会長CEO就任。
TEXT=安井桃子