「ずばり、ジュガード」スタバ、Google…“インド出身CEO”が世界の大企業を席巻している理由【亀田製菓会長が分析】
器用で勤勉、でもガッツが無くなった日本人
Jugaad(ジュガード)、その言葉のなかには「課題に直面したら、まず自分ができることをする」という意味もあるとジュネジャ氏は理解している。 「研究者として入社した太陽化学の1年目、周りはインド人なんて見たこともない、という人たちばかりで(笑)、言ってしまえばアウェーな場だった。であればまず得意の研究をと1年目に論文を書き、それを話題にしてもらい新聞に載せてもらいました。そこから『あのインド人、けっこうできるのでは?』と思ってもらえて、副社長にまでなることができた。 私は口癖のように『私にやらせてください』と言って常に手を上げてきました。みんながやらない、やりたがらないことも、自分にできるならやる。魂を持って仕事をする。そうやって課題をクリアし、道を切り開いてきたつもりです」 まさに不屈の魂とチャレンジ精神。これこそが今の日本にもっとも足りないものなのかもしれない。 「私が来日した1984年当時、日本のGDPはインドとかけ離れて高く世界のトップ10企業の中には日本の会社が多く入っていました。長者番付にも日本人の名前が多くありましたね。今は……残念ながらそうではない。 けれど、日本のものづくりは、けっして変わっていません。今でも素晴らしいものをつくり続けている。日本人は変わらず器用で勤勉です。変わったのは、ガッツだけ。今、日本人は世界に出ていこうとせず、コンフォートゾーンに留まってしまっている状態です」 ジュネジャ氏が来日した1984年はまさにバブル期真っ只中。それは戦後焼け野原となった日本が、自分たちの存在意義をかけて働いた、ジュネジャ氏の言うところの「ガッツ」、その結果が導き出した好景気だった。しかしもはやそれは過去の話。現代の日本で企業が成長していくにはどうすればいいのだろう。 「海外に出ること。伝えること。人材、商品、すでに十分に素晴らしいリソースを持っている。それは世界もとっくに知っているんです。けれど多くの日本企業がそのリソースを国内に向けてのみ使用してきました。多くの日本の素晴らしい商品は、国外でヒットするポテンシャルを持っている。リスクをとって、もっと外に、どんどん出るべきです。 英語だって、カタコトでいいから、とにかく伝えるために、自分から話すこと。私だって日本語はまだまだ中途半端。でもいいんです、ネイティブじゃないんだから。だから気にせずベラベラ喋ります。けれど日本人は『完璧に話せないから』と、遠慮して話さない。もっと日本人もフレキシビリティーをもって、できない、なんて決めつけずに話して、動いてほしい」