「部下がHSPらしい。どう対応したらいい?」 配慮しても遠慮しない…職場の「繊細さん」と正しく付き合う知恵
職場におけるHSP(Highly Sensitive Person)、いわゆる“繊細さん”についてフォーカスしたいと思います。 一時期かなり話題になり、私のところにも「自分はHSPではないか」、あるいは「部下がHSPらしいんだが、どう対応したらいいか?」という相談が寄せられていました。 そんなHSPですが、その実態はいったい何なのでしょうか? そして、どう対応すればいいのでしょうか? HSPは一言でいうと、「わがままではなく、何かに困っている」状態の人、そしてその対応は「配慮はするけど遠慮はしない」が原則になります。どういうことなのか、詳しく見ていきましょう。
HSPってそもそも何?
「わたし繊細なんでぇ配慮してくださぁい!」 漫画『新人は自称HSP』(はむら芥著)に出てくるセリフです。このセリフを聞いて、「うちの職場でも似たようなこと聞いたことある」となった人は多いのではないでしょうか? この漫画は「自分はHSPだ」と主張する新入社員と、それに振り回される同僚や先輩社員そして職場を描いたものです。 自称HSP新入社員は「自分はHSPだから、あの仕事はできない、この仕事はできない」と主張する一方で定時に帰ってしまったり、自分の失敗やミスを先輩になすりつけたりしていきます。 困った先輩は、上司である課長に対応を相談しますが、課長やほかの社員たちも「HSPなんだから配慮が必要なんだ」と取り合ってくれません。あげく、その先輩はパワハラのぬれぎぬまで着せられてしまいます。 新人はさんざん職場を振り回しますが、最後にどんでん返しが待っています。漫画の内容が気になる人は、ぜひご自身で読んでみてください。
HSPとはHighly Sensitive Personの略称です。 もともとはアメリカの心理学者エレイン・アーロン博士が提唱した概念で、日本では2018年に『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本』(武田友紀・著、飛鳥新社)が大ヒットしたことなどでSNSを中心に広がりを見せてきました。 『「繊細さん」の本』のなかではセルフチェックリストが紹介されていて、23個の質問のうち12個以上が当てはまるとHSPの可能性が高い、と書かれています。インターネットなどでも、同様のセルフチェックリストが無数にあります。 全部を紹介することはできないのですが、職場で特に関連しそうなものだと以下のようなものがあります。 ●短期間にたくさんのことをしなければならないとき、混乱してしまう ●一度にたくさんのことを頼まれるのがイヤだ ●ミスをしたり物を忘れたりしないようにいつも気をつける ●あまりにもたくさんのことが自分のまわりで起こっていると、不快になり神経が高ぶる ●仕事をするとき、競争させられたり、観察されていると、緊張し、いつもの実力を発揮できなくなる ●騒音に悩まされやすい(聴覚過敏) ●生活に変化があると混乱する