フォード「GT40」が約1600万円で落札!? 限りなくホンモノに準じたレプリカは公道走行可能! しかも最高速300キロ以上もマークしていました
16年前に完成したレプリカ車としては強気なエスティメートを設定
フロントのウインドスクリーンにはヒーターが装備されているが、これもレプリカ車としては初めてのことで、特許が切れるごく最近まで本家のフォード版だけがヒーターつきスクリーンを装備していた。蛇足ながらオリジナルGT40では充電システムの能力に限界があり、ル・マンではドライバーがうっかりスイッチを入れたために、エンジンが停止してしまうトラブルも発生したそうだ。 そして、いかにも現代のレプリカと感心させられるのが、大きなガラス張りの小さなコクピットには欠かせないエアコンが装備されていること。フロントカウルに設けられた「NACAダクト」も機能的で、ダッシュボードの目玉型エアダクトに冷気を供給する。ダッシュ中央の吹き出し口も同様に機能している。だからクルマが動いてさえいれば、これらすべてが組み合わさり、夏の暑い日でもコクピットを涼しく保つことができるという。 さらに現代的な利便性への隠れた配慮として、各ドアポケットにはシガーライターソケットも設けられていた。 この現代的かつオリジナリティを究めたGT40で、現オーナーはフランスのアングレームやポー、シャンパーニュなど、そして英国中を旅した。また、そんなツーリング用のラゲッジスペースを拡大するため、2つの特注バッグが作られた。1つはフロントのエアインテーク下に、もう1つはパッセンジャーの脚の下にフィットするもので、シートの後ろの三角形の隙間にはさらに2つのラゲッジスペースが設けられている。 この魅力的に仕立てられたサザンGT40に、ボナムズ社営業部門は8万5000ポンド~12万ポンド(約1509万円~2250万円)という、16年前に完成したレプリカ車としてはかなり強気にも見えるエスティメート(推定落札価格)を設定した。 ところが、やはりというべきか出品者側の思惑ほどにはビッド(入札)が伸びなかったようで、終わってみればオークショネア側に支払われる「プレミアム(手数料)」込みでも、エスティメート下限にようやく届く8万6250ポンド。すなわち日本円に換算すれば、約1617万円で落札されることになったのである。
武田公実(TAKEDA Hiromi)