フォード「GT40」が約1600万円で落札!? 限りなくホンモノに準じたレプリカは公道走行可能! しかも最高速300キロ以上もマークしていました
マフラーは公道用とレース用に2セット用意
ギアボックスは「クワイフ」社製ZFタイプの5速。これはGT40オリジナルのZFユニットの外装とシフトパターンを活かし、最新の内部ギアを組み込んだもの。オリジナルのGT40に準じたシフトレバーユニットには、リバースを保護するための跳ね上げ式カバーも含まれている。 ステンレス製エキゾーストは、2組のサイレンサーをVバンドクランプで固定し、交換を容易にしている。1セットはより静かな公道用で、もう1セットはサーキット走行用とのことである。 シャシーに目を移すと、ダンパーは「Koni 2812」アジャスタブルユニットを採用。これはトップエンドに調整機構を組み込み、伸び側と縮み側の両方を調整可能としたもので、アイバッハのデュアルレートスプリングと組み合わせることで、しなやかな乗り心地と優れたグリップを実現している。また、フルアジャスタブル式のアンチロールバーは、軽量化のためにクロームモリブデン製チューブに変更されている。 こうして完成したサザンGT40は「グッドウッド・スプリント」の常連となり、過去10年間「GRRCスプリント」でクラス優勝を果たしている。グッドウッドでの最速ラップは86秒で、さらに空軍基地で行われたスピードトライアルでは、レーダータイムで時速192マイル(約307km/h)を記録した。
現代の路上にも耐えうる装備と、サーキットでの速さの両立を狙った1台
今回のオークション出品者である現オーナーは、オリジナルの1960年代のレーシングマシンをできるだけ忠実に再現することを意図しており、多くの時間と労力をかけて、正しいパーツや純正オリジナルパーツを調達した。ディテールの細かさは見てみないとわからないものながら、この個体は他を圧倒しているとのことであった。 たとえばアイテムにはオリジナルどおりのボディ固定クリップが含まれるが、これはライトニング戦闘機を壊してしまった人から入手した。ドアハンドルは多くのレプリカのようにビレットから削り出したものではなく、オリジナルと同じく鋳造品である。また、フューエルフィラーも同様で、オリジナルの鋳造品が使用されている。 左右のドアミラーは古いジャガーと共用だが、オリジナルGT40と同様に取り付け部が変更されている。リアウイングの標識灯は、本物のランカスター爆撃機の標識灯である。 ホイールも純正のノックオフ軽量ワンピース(PSE)にアルミ製スピンナーを装着。「エイボンCR6ZZ(前215/後295)」タイヤはサイドウォールの高い、当時を彷彿とさせるルックスながらも最新のコンパウンドが組み込まれ、ドライでもウエットでも驚異的なグリップを発揮する。 また、リアカウルはカーボンファイバー製のものを装備し、リアの重量を大幅に軽減。アルミブロックと組み合わせることで、ほぼ完璧な重量配分を実現している。 興味深いことに、オリジナルのフォードGT40はグラスファイバー製だったが、ル・マン優勝も果たした最強のプライベーター「JWEガルフ・レーシング」のGT40は、剛性を高めることを目的として、当時はまだ珍しかったカーボンファイバーを初めて採用したとされている。