織田信成、11年ぶり出場で5位発進 笑いあり涙ありの「マツケンサンバⅡ」披露 「4回転を決められてうれしかった」/フィギュア
フィギュアスケート・全日本選手権第1日(20日、東和薬品ラクタブドーム)来年3月の世界選手権(米ボストン)代表選考会を兼ねて開幕。男子ショートプログラム(SP)が行われ、11年ぶりに出場した織田信成(37)=大阪スケート倶楽部=が84・53点で5位発進した。初優勝を目指す鍵山優真(21)=オリエンタルバイオ・中京大=はジャンプでミスが出たものの、92・05点で首位に立った。 サンバ、ビバ、サンバ♪ 俳優、松平健の大ヒット曲「マツケンサンバⅡ」のリズムに乗り、織田が地元大阪のリンクをダンス会場へと変貌させた。自然と観客席から手拍子が巻き起こる。会場全体を熱狂させた37歳が84・53点をマークした。 「家族も見に来ていた。37歳でショートで4回転絶対決めるぞと臨んでいたので、それができてうれしかった。終わった後は安心感、開放感で感極まってしまった」 笑いあり、涙ありのSPだった。最初の4回転―3回転の連続トーループを成功。順調な滑り出しだったが、ここで思わぬハプニングだ。滑走中に衣装の両袖を引っ張りサンバ風の衣装に変貌するはずが、左袖がうまく抜けずに大苦戦。必死に左袖を引っ張る姿に観客は爆笑だ。「それも含めて、楽しんでもらえたようなので、結果オーライかな」と苦笑いした。 演技後には観客席に向けて両手を左右に挙げ、腰をフリフリ。最後の最後までハイテンションで盛り上げたが、採点を待つ、キス・アンド・クライでは大号泣。その様子が場内に映し出されると観客はさらに爆笑した。 2010年のバンクーバー五輪代表は13年の全日本選手権終了後に現役引退を表明。22年秋に競技復帰を果たしたが、膝や腰はボロボロで、今季限りの引退を決意している。最後の大舞台。反抗期真っただ中の息子からは「試合頑張ってね」、妻からは「これで最後やし、思いっきり楽しんで」と送り出された。 「年齢はただの数字。年を取ったからといってできないことはないと言い聞かせてやってきた。それを証明するために、きょうは一歩、近づけたかなと思う」と織田。入賞を目指す男子のフリーは21日。ラストダンスで2024年を締めくくる。(西垣戸理大) ■織田 信成(おだ・のぶなり) 1987(昭和62)年3月25日生まれ、37歳。大阪・高槻市出身。母の影響で7歳から競技を始め、2005年の世界ジュニア選手権で優勝。シニアに転向し、06年の四大陸選手権、08年の全日本選手権で優勝。10年バンクーバー五輪は7位。13年に現役引退も、22年に現役復帰。10年に中学時代の同級生と結婚し、現在は4児の父。関大、関大大学院出、大阪スケート倶楽部所属。164センチ。