テレビっ子集まれ~!『放送ライブラリー』で電波の旅へ。
「あなたへのおすすめ」が存在しない、アーカイブの網羅的世界へ飛び込む。
近年放送されたものから、古くは日本のテレビ本放送の幕開きとなる1953年の『NHK東京テレビジョン開局に当たって』をはじめ、数々のドキュメンタリー、昨年逝去した脚本家の山田太一の名作や『太陽にほえろ!』などの懐かしのドラマ、『クイズダービー』『スター誕生!』『カノッサの屈辱』といった伝説のバラエティなど、テレビっ子ならば垂涎のラインナップ。「古い順」「年代」「出演者名」のように気になるワードやフィルターをかけて検索してみると、埋もれた宝がじゃんじゃん出てくる。
あてもなく探していると、「流星の貴公子」と呼ばれた競走馬テンポイントの栄光と悲劇の一生を、詩人・寺山修司の構成、音楽・森田公一のもとロマン豊かに描いたスポーツ番組『風花の中に散った流星 名馬テンポイント』(1978年/関西テレビ放送)がヒット。こんな番組があったのか。ちなみに、施設の1ヶ月分の視聴ランキングも入り口付近に掲示されているから、手始めに人気の番組から探してみることもできる。取材時の上位には『紅白歌合戦』『ザ・ベストテン』『ひょうきん族』などがランクインしていた。
ラジオを古い順に見てみると、なんと1940年代のものを発見。『街頭録音 青少年の不良化を何うして防ぐか ガード下の娘たち』(1947年/NHK)では、小型隠しマイクをしのばせたアナウンサーが、東京・有楽町のガード下でたむろする女性たちにインタビューする様子が聴けた。ぶしつけな質問や高圧的なインタビュアーの態度にもびっくりだが、戦後すぐの東京の人々の喋り方を知ることができて、当時のリアルな空気感をそのまま真空パックさせたような、歴史的価値を感じさせるアーカイブだ。
「おすすめはテレビCMです」と語るのは施設を運営する『放送番組センター』主管の齋藤さん。「当時の日常や世相をよく知ることができるのがCMです。幼少期を思い出して懐かしい気持ちになったり、今では売っていないレアな商品を見られたり、その時代を凝縮した、2~30秒に詰まったアイディアの結晶に触れたりできるのが魅力的です」。