「トイレの奇麗さ」は要チェック、看板に隠された情報は? プロが教える「かかりつけ医」の見つけ方
雑談を持ちかける
いずれの方法でも重要なのは、医師とのコミュニケーションです。健診であれ、ワクチン接種であれ、風邪の診察であれ、医師との問診が一段落したときに「ちょっと関係ないんですけど……」と切り出して「実は血圧が高いって言われていて」とか「日頃から体を動かした方がいいんですかね」とか、医者に「雑談」を持ちかけてみるんです。 これに対して医師が「いや、これは健診だから答えられない」とか「運動なんてムダ、ムダ」と、全然相手にしてくれないようなら、その後受診しても症状や治療法に対する丁寧な説明は期待できないでしょう。でも、例えば「何か薬は飲んでいるの?」とか「昔、スポーツとかやっていましたか?」と親身になって会話に応じてくれるならば、良好な関係を築ける可能性が高い。
居酒屋探しと同じ
こうして、「今度はこっちの病院に」「次はあっちの病院へ」と、無理なく通える範囲の医院やクリニックを2、3カ所試しておくのです。そうすれば、いざというときに焦らなくて済むでしょう。 病院選びといっても難しく考える必要はなくて、言ってみればレストランや居酒屋を探すのと同じ。レストランや居酒屋もお店の見た目や雰囲気、店主の人となりで大方当たり外れは分かります。大切な商談や会食に初めてのお店は利用せず、なんでもない機会に下見をかねて利用してみたり、ランチを食べに来てみたりするでしょう。病院のお試しもそれと同じ発想でいいのです。 病院のお試しで見るべきは医師とのコミュニケーションだけではありません。むしろ「医師本人」以外の部分に重要なことが隠れている場合も多い。
病院のどこを見る?
例えば「受付」。見るべきは、受付の身なりや格好ではなく「手際が良いか」です。ときどき患者を「〇〇さん」と呼ぶか「〇〇さま」と呼ぶか気にする方がおられますが、そこはそんなに重要ではないはず。極端な話、「そこのお婆ちゃん、次、診察室入ってー」と言われても、やることをやってくれればそれでいいのではないでしょうか。 しかし、診察が終わったのに会計まで30分も40分も待たされたりするのは問題です。診察後に処方箋をもらって精算するだけなら、30分も時間がかかるのはあり得ないことで、スタッフ間で意思疎通がうまくいっていなかったり、業務の手順が決まっていなかったりする恐れがある。診察まで待たされるのは人気がある証拠ですが、診察後に待たされる病院は、精算以外の流れもぐちゃぐちゃになっている可能性が高いといえるでしょう。 それから「トイレが奇麗か」「花が飾ってあるならば萎(しお)れていないか」「古い雑誌を置いていたりしないか」もチェックポイント。これらは患者サービスが充実しているかどうかの判断材料になります。 ただし、単に「建物が古いから」という理由だけでかかりつけ医の候補から外してしまうのはもったいない。そういう「老舗」の病院は地域住民からの信頼が厚いなど、長年存続できた「理由」があることが多いからです。