「13万円で幸せに暮らす」を支援する不動産屋さん、「仕事4割は地域活動」280超のプロジェクト行う 大里綜合管理・千葉県大網白里市
1階は事務所兼コンサートホール、2階はレストランの不動産会社社屋
活動が広がったきっかけは20年前、大網白里市に本社の社屋を建てるために土地を購入したこと。広さは約200坪と、20人弱の規模の会社としては広すぎる印象ですが、活動の主軸が困っている人の「お役に立つ」ことなので、余裕のあるスペースは、さまざまな取り組みに活かされるようになりました。
訪れる人から「料理が得意で、昔はよく人にふるまっていたけど、今は家に誰もいないからつくることもなくなった」という話を聞けば、会社の2階を利用して社員に食事をふるまうレストランを始めます。そのうち、同じように食事を提供したい地域の主婦が日替わりでレストランを営む「ワンデイシェフレストラン」として、地域の人たちが集う店になりました。
また、社屋にあるグランドピアノを見た主婦が「私の娘は音楽大学を卒業したけど、活躍する場がないの」と漏らせば、1階の打ち合わせスペースを活用。5分でコンサートホールに変え、さまざまなコンサートを開催しています。
住まいに困る人を自社の所有物件と管理物件を中心に受け入れ
地域の人たちの「困った」に応えているうちに、大里綜合管理にはさまざまな相談が寄せられるようになりました。不動産の相談などに訪れる人は年間約6000人、レストランやコンサートなど地域活動に関わりのある人たちは年間3万人にのぼります。それぞれの「困った」を拾い、それに「なんとかして応えられないか」「役に立てないか」と取り組んでいるのです。 大里綜合管理には自社や会長の野老さんが所有する物件が20戸ほどあり、大家さんから管理を任されている住宅が約300件あります。これらの物件を活用できないかと考えたこともそのひとつです。
「グループホームに住んでいた40代の精神障がいのある男性が『自立したい』ということで、その希望に応えるために自社の所有物件に受け入れ、就労継続支援作業所に通うサポートなどをしていました。また、車中泊をしていて辛いという人に貸すこともあります」(笠置さん) 働くところが見つからない人には、自社の仕事を任せることも。 以前、生活保護を受けて、引きこもりのような生活をしていた青年を案じたケースワーカーから相談を受け、青年に草刈りの仕事をお願いすることにしました。結果、青年は引きこもりから脱出し、今や同社のチームリーダーに育っているそうです。
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