性行為中に薬物を使用する若者が急増中!?死亡事故も多発している海外の現状とは?
自信を高める
ケムセックスとは、性行為を促進し、延長し、強化することを目的に、精神活性物質(3-MMC、メタンフェタミン、GHBなどの合成薬物)を服用することを指す。「ケムセックスを行う人は、数日間続く"セッション"の中で複数の薬物を併用することが多い。彼らはアルコール、ポッパー、あるいは勃起を助けたり、長引かせたりする薬を加える。要するに危険なカクテルで、そこから立ち直れない人もいる」と、パリの薬物依存症評価・情報センター(CEIP-A)の薬剤師アンヌ・バティスは説明する。 2018年、地域保健機関が始めた DRAMES調査(1)によると、2015年以降、これらのパーティで年間約10件の死亡が報告されている。しかし、この数字は実際には過小評価されている可能性が高く、「死亡とその背景、そして薬物使用との関連性を明確にするのは非常に難しい」と指摘されている。都市部での急増を考えると、その数値は低く見える。実際、『ニューヨーク・タイムズ』紙は、ケムセックスを新たなエイズの流行になぞらえたほどだ。昨年、私たちはこのアンダーグラウンドで起こる歪んだ現象について調査を行った。
再発はしょっちゅう
毎週金曜日、エティエンヌ(仮名)はパリ5区にある教会のドアを開ける。もう2年近く、彼はこの教会でLGBTのためのナルコティクス・アノニマスの集会を開いている。38歳の元 「ケムセクサー」である彼は今、一層若年化し、一層増えていく新参者たちの紆余曲折の人生の旅路に耳を傾けている。その中に、21歳の建築学生マティアス(仮名)がいる。 成人してパリにやってきた若者は、出会い系アプリ「Grindr」で出会った自分の年齢の2回り年上の男性をきっかけにケムセックスの世界に足を踏み入れた。最初のデートでは、友人たちとともに、テーブルの下で合成麻薬が手から手へと渡されていたという。「あれは自分の『最高の夜』のひとつだった」と彼は振り返る。「当時、カミングアウトしていない若いゲイだった。突然、自分に自信が湧き、幻想が現実になり、命を感じるようになった。それで、毎回のセックスで薬を使うことが強迫観念になった。週末ごとに、たくさんの男性と一緒に何日もアパートで過ごすようになり、ついにはコントロールを失ってしまった。」 マティアスは、4ヶ月間再発していないことを誇らしげに笑顔で見せているが、ガエルはその怒りと絶望を隠せない。「ケムセックスの誘惑は強すぎる」と、28歳の彼は語る。彼の最後の経験からは1週間も経過しておらず、寝ることも食べることもなく、4日間続いた。 1年前、見知らぬアパートで、裸で目覚めたガエルは、自分が道を踏み外していることに気づいた。ジャン=リュック・ロメロの夫であるクリストフ・ミッシェルと同じように、彼はガンマブチロラクトン(GBL)のオーバードーズの犠牲者だった。これは非常に多く、また軽視されがちなオーバードーズで、かなり運が良くても一時的な昏睡状態に陥る。「何も覚えていない」と彼は説明する。「ただ、何人かにレイプされて、撮影されていたことだけは覚えている。それから、何度も自殺しようと思った。それなのに、毎回戻ってしまう自分がいる。」