ノーモア“マー君”!肘故障撲滅にMLBがWEBサイトを立ち上げ
大リーグ機構は、近年肘靭帯の損傷によるトミー・ジョン手術が増加している傾向を受け、この日「ピッチスマート」(pitchsmart.org)というウェブサイトを立ち上げた。米国アリゾナ州で開催されているGMミーティングに出席中のジョー・トーレ・大リーグ機構副会長が、当地で記者会見を行い発表した。 「近年、メジャーリーグでは肘靭帯の故障によるトミー・ジョン手術が増えているが、アマチュア、ユースの選手の間にもその傾向が強まっている。この状況に機構として何ができるか、色々な分野でのスポーツ医学の専門家がガイドラインを作り、コーチ、選手、父兄が正しい方向に啓蒙するツールとして、サイトを立ち上げた。自信を持って推薦したい」とトーレ氏。 米国スポーツ医学の肘の権威として知られるアンドリュー医師ら、その分野の精鋭医師団が、肘靭帯の炎症を起こす要因や治癒の方法、手術の概要やリハビリについて詳しく説明。年齢に応じた球数制限や、リカバリー期間の確保、肘の強化とケアなどが検索できる。今年春からデータ収集などサイト立ち上げの準備を始め、9ヶ月を要して出来上がった。 担当のクリス・マリナック氏は、「靭帯の故障につながる多くのケースで、ユース時代の登板過多などの関係性が指摘されている。将来、トミー・ジョン手術につながる故障を引き起こさないためにも、若いユース時代のトレーニングが非常に大切だ。また、昔はトミー・ジョン手術の全体数の80%がプロのレベルだったが、最近はどんどん若年層の手術が増えている。日頃から正しいトレーニング、正しいケアをして、靭帯の保護に対する認識を高めて、アマチュア層から教育を続けていかなければならない」と語る。 例えば、球種。同サイトの中では、若くしてカーブやスライダーなど肘に負担にかかる球種を投げることによって、故障発生率がどれだけ上昇するかなど、具体的なデータを入れて説明している。 また、8歳以下、9歳から12歳、13歳から14歳、15歳から18歳と4段階にカテゴリーを分け、細かく練習ガイドラインを設けた。例えば7歳から8歳児の場合、1日最高は50球まで。21球以上投げたら中1日休む。36球以上投げたら中2日休むなど、細かく練習内容も決められている。指導者はこのガイドラインに沿って、メニューを組むように薦められている。