「食べることと農業はつながっている」 キュウリ農家に転身、見つけた答え
「頑張っている姿や気配が心強い」
――「やまなし農業女子」はいつから、どんな活動をしていらっしゃいますか? 2019年に女性農業者のグループをつくりました。こっちに来て農業の友達も普通の友達もいない中で、女性農業者向けの研修に参加したメンバーで実践の場を作ろうと、集まりました。農林水産省で「農業女子プロジェクト」をやっているから、その地域版みたいなものを作れたらいいね、という話から始まった感じですね。 今のメンバーは50人ぐらいで、半分以上はここで生まれ育った後継者就農。娘が継いでいる人たちです。最初は月に4回、定例会で集まっていました。コロナになってからはオンラインで、最近はまたリアルで定例会をやっています。イベントもやっています。 ――今年6月にオープンした体験型複合施設「fumotto(フモット)南アルプス」でもイベントを開催しています。 先日は、桃とスモモの食べ比べプレートを出して、みなさんに食べてもらいながら農業を伝える、というイベントをやりました。みんな農繁期で忙しいときに果実を持ってきてくれて、農業の話をして、お客さんにも楽しんでもらえました。 ――「やまなし農業女子」で、これからどんなことをやりたいですか。 女性が地域で活躍していくためには情報を得られる場所が必要で、ほかのメンバーたちが頑張っている姿や気配を感じながら過ごせるとすごく心強いので、今やっていることを長く続けていきたいです。大学生など次の世代につながることや、これまで農業に触れてこなかった人たちが農業について考えたり触れたりできる機会も増やしたいと思っています。 ――南アルプス市の移住アンバサダーを務めているそうですね。 私も新規就農した当初は、「本当にできるのかな」と、周りから見られていたと思います。でも、地域のみなさんに自分から頼ることができれば、いろいろ教えてもらえますし、それに応えようと一生懸命頑張ることも大切です。ここの土地には縄文時代からの歴史があって、武田信玄の時代にできた堤防や、地元の方々が作ってきたものを使わせてもらうので、その恩恵を受けてわかったこともたくさんあります。都会で暮らしていると人に頼ることを忘れてしまって、コミュニティーへの入り方がわからなくなりがち。移住してきた人たちを、経験者がフォローしていくことが大切だと思います。