「重くて、遅い」パナソニックはAIで変貌できるか、18万人規模で導入し現場主導の企業文化を目指す
ConnectAIやPX-AIが、業務の効率化という観点からのAIの活用であるのに対して、モノづくりのためのAIや、製品やサービスと融合したAIに関しても積極的に導入している。 例えばモノづくりのAIでは、開発部門において、GitHub Copilotをいち早く活用したほか、カリフォルニア大学バークレー校と共同開発したマルチモーダル基盤モデル「HIPIE(ヒピエ)」や、FastLabelとの協業による「Data-centric AI プラットフォーム」により、画像情報にタグやメタデータを付与するアノテーション作業の負担を軽減。開発の効率化を図ることができる。冷蔵庫にカメラを搭載し、収納された野菜の鮮度などを確認できるAIの開発が促進できるのだ。
さらに、ストッマクークとの協業によって、1000億パラメーターの規模を持つ、パナソニックグループ専用日本語大規模言語モデル「Panasonic-LLM-100b」を開発。パナソニックグループが保有する社内情報を追加事前学習させ、これをHIPIEに統合し、各事業会社におけるAIの開発を加速する環境も整える。 加えてロボット制御では、世界モデルの「Newtonian VAE」と融合したLLMの開発も進めている。
パナソニックグループでは、幅広い事業領域の「プロ」がAI技術を使いこなすことにより、環境と暮らしに貢献することができる「DAICC(ダイク=Data & AI for Co-Creation)」というコンセプトを打ち出している。ここには、同じ発音の「大工」にも通じる考え方がある。 パナソニックホールディングス DX・CPS本部 デジタル・AI技術センターの九津見洋所長は、「大工は、のこぎりやカンナなどのさまざまな道具を使って、加工し、家を建てる。それと同じように、パナソニックは、AIという一流の技術を見極め、選別し、利用しながら、社会の困りごとを解決する。AIは道具や手段であり、使いこなすことが大切。これが、AIに対するパナソニックの基本姿勢になる」とする。