エルメス麻布台ヒルズ店、メゾンが大事にしている手仕事の美と自然に包まれる
■店舗自体が秀逸な作品 「手仕事を重視」の姿勢光る
エルメスと言えば、フランスの老舗メゾン。その存在感を裏打ちするような、このメゾンならではの2つの大きな特徴がある。 1つは独立した企業(家族経営)であること。そして、もう一つは、職人の手仕事を尊重し手仕事に携わる人々を敬う気持ちが強い、稀有(けう)な存在であるということだ。エルメスのなかで、職人の手仕事は何よりも大切にされている。そのことを示すように従業員の30%以上を職人が占める。 16のメチエ(製品部門)と60の工房を構え、フランスに生産拠点を置くことにこだわりを持ち、世界45カ国で300店に近い店舗網を展開しているエルメス。 そのなかで、今回紹介する麻布台ヒルズ店は、「店舗自体が職人による秀逸な作品の1つ」とたたえられた。入居する施設そのものと同様に、自然の美しさを取り入れた店舗の魅力をここからひもといていく。
■ゆったり温かな気持ちに 自然と調和した心地よさ
エルメス麻布台ヒルズ店は、パリの建築設計事務所RDAI(レナ・デュマ・アルシテクチュール・アンテリユール社)が手掛けた。実は、内と外を緩やかにつなぐ日本の住居建築独自の空間づくりの手法が生かされているそう。 この店舗には2つの入り口がある。一方の入り口から足を踏み入れると、まず目につくのはメンズコレクション。そして中央にはジュエリー、スモールレザーグッズ、時計、馬具のコレクションが広がる。そして、もう一つのエントランスはウィメンズのコレクション。フレグランス、シルク、アクセサリーが並ぶ。 中央広場のすぐ前という立地の良さもあるが、入店してみると、居るだけでゆったりとした心地よい気分になれる。その適度な広さに天井の高さ、そして店内の明るさも相まって、自然と調和した心地よさを味わえる。 2階建ての建物は、自然を取り入れたつくりになっている。オブジェが置かれた小さな中庭まで進むと、まるで海外で豊かな生活を送る友人の家に遊びに行ったときのような、温かな気持ちに包まれる。