【女優・戸田恵子さん】増田貴久さんとの「いつか」がかなった
演技力と歌に定評のある戸田恵子さんが、名作ミュージカルに出演する。ブロードウェイで大人気を博し、日本でも過去に何度も上演された作品だ。もともと観劇好き、世界各地でたくさんのミュージカルを見てきた戸田さんが作品の面白さと演じる楽しさを、リアルな言葉で語ってくれた。
これぞザ・ミュージカル! 王道の名作が今、蘇る!
「王道のミュージカルだと思います。まだ稽古前なので台本と譜面を見ただけですけど、これぞザ・ミュージカル! という感じかな。 最近は、普通に話していてそのまま普通に歌に入るとか、そしてその歌がすごく短かったり、リアリティ重視のミュージカルが主流ですよね? でもこの作品はもっとオーソドックスで、きれいで華やかできらびやかで、古き良き時代のグランド・ミュージカル。きっと夢の世界に連れていってくれると思います」と戸田恵子さん。 3月に東京で、4月に大阪で上演されるミュージカル『20世紀号に乗って』に出演する戸田さんは、本作をこんなふうに、わかりやすく解説してくれた。というのも戸田さん、若い頃から毎年ニューヨークに通い、演劇やミュージカルを観客席から何本も観てきた根っからの舞台ファン、ミュージカル通なのだ。 「実は先週も、ニューヨークで舞台を観てきたばかりです。今回は仕事がらみだったので、4泊6日で4本しか観ることができなかったんですけど。 今話題になっているミュージカル版『バック・トゥ・ザ・フューチャー』も観ることができました。それがすごーく、本当にひっくりかえるほど素晴らしかったんですよ!(笑) ですから今回の舞台も、気鋭の演出家であるクリス・ベイリーさんがこの古い作品をどうアレンジしてくださるのか、とても楽しみなんです」
本作はそもそも1930年代に書かれた戯曲。上演されるや観客が詰めかけ、大人気となり、翌年には映画化された。 40年後の70年代に、原作と映画をもとにブロードウェイ・ミュージカルとなり、トニー賞をいくつも獲得。さらに2015年にもリバイバル上演されてヒットしている。 日本でも1990年に初上陸。その後宝塚でも上演された人気演目なのだ。 「今回、主役を演じる増田貴久さんとは、20年くらい前にドラマでご一緒したんです。それ以来ご飯を食べたり、彼が芝居をしているときには観に行ったり。テレビの歌番組に出てきたら、『良かったよ』ってメールしたりね。『いつか舞台のお芝居を一緒にやりたいね』って話はしていたんです。 だから私からすると増田さんは、とても若い人ってイメージだったけど、今回久しぶりに会ったら、ずいぶん大人になったなぁと思って。そうか、私もそれだけ年をとっているんだなって(笑)。 ともあれ、彼はすごく真面目で昔から歌も抜群に上手だったので、この作品にぴったりだと思います」 戸田さんが演じるのは、レティシア・プリムローズという大富豪の夫人。主人公オスカーは今や落ち目のプロデューサーで、元恋人の人気女優リリーを舞台に起用して再起を図ろうとしている。それを聞きつけて、「舞台のスポンサーになる」と名乗りをあげるのが、プリムローズ夫人。物語のキーパーソンだ。 「もう最近は、どこの現場に行っても最年長なので、稽古が始まったら、いの一番にこう言おうと思ってます。『みなさん、私を大切にして下さい!』って(笑)」 10代で俳優デビュー&歌手デビューを果たし、舞台女優、声優と活躍の場を広げてきた戸田さん。 脚本家の三谷幸喜さんに切望され、初めてテレビの連続ドラマに出演したのが39歳のとき。以来、メリハリの効いた明るい声と内側からあふれるようなパワーで、さまざまなドラマや映画、舞台にひっぱりだこ。 どこからどう見ても年齢不詳の美女だから、すでに還暦を6年過ぎたと聞いて驚く人も多いはず。