訪日客の「地方への訪問」意向は90%超え、一方で経験率は10%以下、円安が「旅行決定に影響」は36%
日本交通公社(JTBF)は日本政策投資銀行(DBJ)と共同で、レポート「DBJ・JTBFアジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査 2024年度版」を発行した。この調査は2012年度より継続的に実施しているもの。今年度は、インバウンド観光再開後の外国人旅行者の意向変化などを把握するため、2024年7月8日~7月18日に実施した。
認知が高まるほど訪問意向も高い傾向
レポートでは、地方の観光地についての調査結果を発表。地方観光地への訪問意向が高い一方で、実際の訪問経験は低いことがわかった。首都圏・都市部から離れた地方観光地への訪問意向率は、英国(81%)を除き90%を超え、米国は100%となった。一方、多くの地方観光地の訪問経験率は10%を下回った。実際は、東京・大阪などの都市部や北海道・沖縄などの代表的な観光地に集中している。 また、日本の観光地の認知率と、観光地の認知者における訪問意向率は0.96と強い相関にあり、認知が高まるほど訪問意向が高まる傾向にあるようだ。このことから、レポートでは、地方では認知率向上への取り組みが有用であると指摘している。 「地方の観光地を2015年以降に旅行したことがある」と回答した人を初訪日者と訪日リピーターで比較すると、初訪日者は全体の72%、訪日リピーターは90%となり、訪日リピーターの割合が高くなった。地域別で見ると、アジアでは初訪日者は73%、訪日リピーターが90%、欧米豪では初訪日者は67%、訪日リピーターが77%。さらに、「伝統的な日本料理」「温泉への入浴」「世界遺産の見物」を地方部で実施した人は、訪日リピーターの割合が高い結果となった。
円安の影響、訪日旅行の「決定に影響」は36%
訪日旅行での体験と消費についての調査では、訪日旅行で体験した活動の実施率が高くなるほど支出した人の割合が低くなる。この傾向は昨年から大きな変化はない。 地方部での体験実施の傾向を見ると、実施割合が最も高いのは「雪景色鑑賞」、次いで、「アクティビティを楽しむこと」、「自然や風景の見物」と自然資源を活用した活動が続いた。地方部での実施割合が高い活動は全体の2割程度にとどまり、レポートでは「地方部の地域資源に活用の余地がある」と分析している。 また、訪日旅行中の活動に要した平均時間は、100分前後に集中。1時間あたり単価は、活動により差がみられ、最も単価が高いのは、京都や東京での体験者に高額出費者が含まれる「紅葉の鑑賞」だった。「近代的/先進的な建築物の見物」、「伝統工芸品の工房見学・体験/制作や購入」は他の体験と比べて1時間あたり単価が高くなった。 このほか、円安が訪日旅行に及ぼす影響についても調査。訪日旅行経験者のうち訪日旅行の決定に円安が影響した人は36%。国・地域別では、香港(46%)、台湾(42%)、韓国(41%)の順で高かった。また、訪日旅行の決定に円安が影響した人の旅行時期は、2022年10月以降が最も多く61%だった。
トラベルボイス編集部