【オークス回顧】例年ほど聞かなかった距離不安 中距離適性高いチェルヴィニア、大敗から巻き返し
距離延長への不安が聞こえなかったレース前
オークスの決着時計2:24.0は史上6位の記録。この世代は阪神JFがレースレコード、桜花賞は史上3位と高速決着が続いた。チューリップ賞史上2位、フローラS史上3位など前哨戦も好時計決着が続出しており、総じてレベルが高い。もちろん、レース当日の天候に恵まれた晴れ女世代でもあるが、それでも速い時計が続くのは能力値の高さあってのものだ。 【オークス2024 推奨馬】勝率40%、複勝率80%データ該当で死角なし! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) 日本のサラブレッド生産のレベルはワンランク上になったといっていい。同時にクラシックの考え方や馬づくりのコンセプトの変化も感じる。というのも、今年のオークスでは例年必ず議論になる800mの距離延長への不安は以前ほど聞かれなかった。中距離に不安を残す有力馬がオークスに出走していなかったことは、馬づくりの変化の象徴だろう。 以前は牝馬なら桜花賞、牡馬ならダービーといわれ、牝馬はまずはマイルを目指す。スピードと持続力の両立はマイラーにとって欠かせない。その先に待ち受ける距離延長は桜花賞から中5週で対応していく。この点がオークスで問われてきた。しかし、最近は総じて中距離を重視し、中距離に強い種牡馬が版図を広げていく。ディープインパクトという偉大な種牡馬が中距離シフトに与えた影響は大きい。中距離で勝てる馬づくりが進んだ結果、牝馬もマイルは能力でこなし、適性は中距離という馬が増えた。 桜の尊さも儚さも一切変わっていないが、その舞台を走る牝馬たちの質は確実に変わった。もちろん、クラシックは最初の目標であることに変わりはないが、各馬の生きる道も繁殖としての価値もその先まで続いていく。最終的には牡馬と互角以上に渡り合えること。いわばアーモンドアイのような強さが理想になった。サラブレッドとして長く活躍できること、その血が未来への礎となること。ここに目標があるとすれば、中距離にシフトしていくのは自然かもしれない。 そんな潮流はオークスの勝ち時計歴代トップ5をみればわかる。 第1位 ラヴズオンリーユー 2:22.8 第2位 リバティアイランド 2:23.1 第3位 ジェンティルドンナ 2:23.6 第4位 アーモンドアイ 2:23.8 第5位 スターズオンアース 2:23.9 この5頭は語るまでもなく、その後、牡馬相手に中距離で互角以上の成績を残した。古馬中距離GⅠで戦える牝馬だからこそ、高速決着のオークスを勝てた。クラシックが終われば、もう性別は関係なくなる。そんなボーダレスな馬づくりがレベルアップの根底にある。