92歳の樋口恵子と88歳の下重暁子が「健診や人間ドックはほとんど受けない」と語るワケ。下重「やむなく大腸の内視鏡検査を受けたら…」
◆大腸の内視鏡検査 下重 昨年、検便でわずかに潜血(せんけつ)が見つかったけど、認めたくなくて(笑)。再度検査してもらったら、やっぱり潜血反応が出たの。それでしかたなく、大腸の内視鏡検査を受けることにしました。 そうしたらポリープが見つかったので、内視鏡で取り除くことになったんです。あれ、腸の内部が映っている画面を見ることができるので、けっこう面白いのよ。 樋口 どんなふうに? 下重 大腸の中がピンク色できれいなのよ。ピカピカ光っている。 樋口 そこで「あら、私ってなんてきれいなの!」と思ったのね。 下重 そうなの。本当にきれいだな、と思いました。ところがポリープのところだけ、汚いの。なるほど、と納得しました。「先生、どこを取るんですか?」とか、いちいち質問するので、先生も看護師さんもちょっと困っていたけど(笑)。 私がしゃべりすぎるから、「あなたみたいな人は珍しいですね。みんな、無言で真剣な表情ですよ」と言われて。私、真剣じゃないように見えたのかしら。
◆内視鏡検査は前日が大変 樋口 自分の腸の内部を見るのが初めてだったら、質問したくなる気持ちもわからなくもないですが……。 下重 私はたいがいのことは面白がる性質(たち)みたい。それに自分の腸の中を見る機会なんて、滅多にないじゃない。 樋口 ポリープを取り除くとき、痛みはあるんですか? 下重 ちょっと違和感はあるけど、痛くはなかったです。ただ、前日の準備がとにかく大変でした。食事は制限されるし、2リットル近くの水みたいな下剤を飲んで、腸の中のものを全部出す作業に辟易(へきえき)しました。 その飲まなきゃいけない下剤には風味づけがしてあるものの、とにかくまずい。しかも、何度もトイレに駆け込まないといけない。あんな思いはもうしたくないから、内視鏡検査なんて二度と受けるものか! と心に誓いました。
◆自分の「勘」を信じる 樋口 でも、検査に引っかかったら、病院はまた内視鏡検査を受けさせようとするんじゃない? 下重 実は数カ月前にちょっとだけ下血し、内視鏡検査の勧誘を受けたところです。「主治医と相談します」と返事を引き延ばしていたタイミングで、検便を含む検査をひととおりしました。検便は2日分ですが、なにもひっかからず、胸をなでおろしたところです。 ちなみにポリープを切除したとき、医者は「放っておいたら、がんになりかねなかった。いいタイミングでした」とおっしゃるんですけど、私はあんまり信用していません(笑)。 樋口 ご自分の“勘”のほうを信じているのね。 下重 はい。非科学的と言われそうですが――。そういえば5、6年前だったか、血液検査でなにかよくない数値が出たのか、再検査するようにと言われて。でも、何カ月も行かなかった。気にしていないわけじゃないんですよ。再検査して決定的なことを言われたらイヤだな、という気持ちもあったんでしょうね。 それと、自分でなんとなく自分の体のことはわかるから。なにも症状がないのに、再検査に行きたくなかった。翌年の血液検査ではなんともなかったので、やっぱり自分の勘が当たっていたのかな、と思います。 ※本稿は、『90前後で、女性はこう変わる』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。
樋口恵子,下重暁子
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