【光る君へ】スケスケ衣装に驚き! 和泉式部の“罪作りすぎる恋愛エピソード”とは? 冷泉天皇の皇子ふたりを夢中にさせた「魔性の女」っぷり
NHK大河ドラマ『光る君へ』8月4日(日)放送の第30回では、主人公・まひろ/紫式部(吉高由里子)があかね/和泉式部(泉里香)に出会う。あかねは和歌を学ぶ会で水色のシースルーの着物で登場。「何もかも脱いでしまいたい」と色香をふりまいた。ほかにも宮中で流行っているききょう/清少納言(ファーストサマーウイカ)の『枕草子』を読んで「さほど面白くない」とばっさり言い放つなど、彼女の奔放っぷりが話題となったが、史実においても、和泉式部はスキャンダラスな逸話を数多く持つ人物である。ここでは、冷泉天皇の息子と、それも兄弟二人をとりこにした彼女の「魔性の女」エピソードについて見ていこう。 ■皇子の兄弟を恋い焦がれさせた「魔性の女」 和泉式部とは、何とも罪作りな女である。数多の男を虜にして惑わしたとの風評が広まったとされるが、それも妥当な評価だと、筆者も実感するところである。 夫(橘道貞)が居ながらにして、冷泉天皇の第三皇子・為尊親王と熱愛。それだけでもスキャンダラスなのに、さらにその弟・敦道親王との恋の駆け引きにも没頭しているから、「何をか言わんや」である。 その模様は、『和泉式部日記』に、自らの手で詳細に記している(著者が他にいたとの説もある)。それを読んでも、和泉式部の両親王に対する恋心が本物だったのかどうか、実のところ疑わしい。 ただし、彼女に男慣れした様子は見えなかった。むしろ、頼りなさげで物思いに沈んでいるかのような風情が漂うほどである。それがまた、男にとっては、この上なくそそられてしまうのだろう。 それが作為なのかどうか本当のところはわからないが、男はその思わせ振りな姿に惑わされ、そして苦しむのである。女の本心がどうあれ、それも「魔性の女」と呼ぶべきだろう。 ■和泉式部に夢中になりすぎた皇子の「末路」 彼女が最初に恋した為尊親王は、享年26にして薨去。道端に死体が溢れかえるほど疫病が蔓延していたにもかかわらず、彼女に会うために毎夜歩き回ったことで感染したと噂されたようである。 さらに、兄が恋した女性がどのような人であったのか……と軽い気持ちで興味を抱き始めた弟・敦道親王も、結局は彼女の虜となって、身を焦がすような思いの果てに早世(享年27)。少なくともこの二人の兄弟を見る限り、彼女に振り回された挙句、早々とこの世を去ってしまったようである。 「魔性の女」とは、必ずしも美女というのが絶対条件とは言えないかもしれないが、男を虜にして惑わす天賦の才の持ち主であることは間違いない。儚くも妖艶といった女の風情が、男を虜にして恋心を起こさせるのだろう。それが満たされないと切なく、時には身を焦がすような痛みを伴うこともあるとか。「恋に溺れる」とは、まさにこういうことをいうのだろうか。 ただし、この場合、視線の先にあるのは相手そのものではなく、「自らの心に都合よく映し出した相手」である(詳しくは藤井勝彦著『図解ダーティヒロイン』新紀元者刊を参照)。 「大好きな人と出会って寄り添い、いつまでもそばにいたい」として「自らの心の渇きを癒したい」と願う心を「恋」というのだとすれば、真の「愛」は、「一切の見返りを求めず相手に尽くそうとする気持ち」だと信じたい。 もちろん、この場合、視線の先にあるのは、相手そのものというべきか。自らを犠牲にすることも厭わないところからすれば、自分の思いなどさして重要ではないのだ。次々と浮名を流し続けて男を苦しめ続けてきた和泉式部自身もまた、「恋に溺れた女」であったと思えてならない。
藤井勝彦