エミー賞史上最多受賞『一流シェフのファミリーレストラン』何の気なしに見た第1話がいきなり最高で沼る【ミニレシピ付き】
対立する者同士でも、常識はずれに美味しいものを食べている時は一斉に口をつぐむ。
「肉は柔らかい? うまい? ハッピーか?」それが全て アメリカはシカゴ、舞台となるダイナーの名前は「BEEF」。『一流シェフのファミリーレストラン』第1話は何の説明もないまま急に始まり、ひたすらに疾走し、見ているこちらを混乱の渦に巻き込んでいきます。 「BEEF」の新しいオーナーシェフになったカーミーは、料理を志しているものであれば誰もが知っている世界一のレストランのスターシェフです。そんな彼が、ある事情からシカゴに戻り兄が経営していたアメリカンダイナー「BEEF」を継ぎます。店のずさんな経営と運営を是正し、まともな料理を出そうと試みるカーミーとシドニー。オペレーションやメニュー、昔からのやり方を変えていこうとする彼らに、元からいるリッチーとスタッフたちは反発し厨房では不協和音が響き渡ります。ひたすら仕込みを続けるカーミーと、みなに気を遣いながら自分の仕事をまっとうしようとするシドニー。リッチーはカーミーを罵り、皆は自分のやり方を主張します。 厨房で、カーミーはなおも手を止めません。いつの間にかオーブンの中で牛肉のブレゼは出来上がってました。ブレゼとはオーブンで蒸し煮するフレンチの技法。スタッフたちには彼が何を作ろうとしているか理解できません。
「新作のサンドイッチだ!」カーミーは作った煮込み肉のサンドイッチをみんなに味見させます。一口食べたスタッフは皆一様に驚きました。「ムダにうまい」「ウソでしょ」と眉間に皺を寄せる人、拍手をしながらのけぞる人。カーミーは矢継ぎ早に彼らに問いかけます。 「塩加減は? 肉は柔らかい? うまい? ハッピーか?」 登場人物はみんな個性的と言うよりは、「何言ってるの? 何やってるの?」レベルでユニークなのですが、不思議と誰のことも嫌いになれないんです。ひっどいなあ、あの人ってこういう事を平気で言うよねえーという人情味すれすれのところ。でも不思議と実生活でも、こういう面倒くさい人がいて、その人はその人なりのちゃんと考えがあるんだよねーって思うことってありませんか? でもね、みんなそれぞれの主張があって対立していても、一斉に口をつぐむ瞬間って常識はずれの美味しいもの食べている時ではないでしょうか。 「肉は柔らかい? うまい? ハッピーか?」それが全てなんじゃないかなあ。柔らかいお肉を食べてる時は、美味しくてハッピーだもんね、文句なく! だからこそ、カーミーは納得のいく料理を作りたい。どんな場所であっても、どんな人とでも、あきらめない。