極端な「円安」「株高」で見直したい内外に分散投資するバランスファンドの効用
6月28日にドル円相場は、一時1ドル=161円台に乗せた。1986年12月以来、38年ぶりの円安・ドル高水準になる。非常に極端な円安になっていると感じられるが、日米の金利差を手掛かりとした円安相場に勢いがある。このため、投信市場では米国株式をはじめ海外の資産に投資するファンドのパフォーマンスの高さが際立っている。このような極端な動きは、いずれ修正される傾向にある。「行き過ぎた円安」は、どこかで是正に動くだろう。何か極端な動きがある場合は、その反動への備えも含めて投資資産の管理が重要になる。改めて、「分散投資」の重要性が意識されるところだ。
ここ数年間、特に、コロナ・パンデミックで世界経済が瞬間的にマヒした2020年3月以降は、DX(デジタル・トランスフォーメーション)とAI(人工知能)の成長を手掛かりにした米国株式を中心とした「株高」と、米欧の利上げとは一線を画してゼロ金利を維持し続けた日本円の下落が目立った「円安」が極端に進んだ。このため、資産運用の投資対象としては「米国『S&P500』に勝る投資対象はない」といえるような状況だった。さすがに、米国経済成長の息切れが意識され、インド経済の力強さなどが注目されたこともあって、「米国一辺倒の投資を見直すべき」との見方も台頭し、「S&P500」に偏っていた投資は、新興国も含む全世界株式「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」を投資対象とする動きに移ってきた。
さらに、昨今の極端な「円安」を前にすると、株式投資の地域分散の動きを一歩進めて、「海外一辺倒」の投資資産への見直しも検討した方が良いタイミングではないのだろうか。「S&P500」も「全世界株式(オール・カントリー)」も「海外株式」であることに変わりはない。この投資では、昨年から大きく値上がりした「国内株式」の値上がりの恩恵を取りこぼすことになった。今後、極端に進んだ円安が是正されるような動きになれば、「海外資産」は円高によって(日本人にとって)価値が目減りするということにもなりかねない。この為替変動へのリスクヘッジとして国内資産への投資比率を高める分散投資も検討しておきたい。