極端な「円安」「株高」で見直したい内外に分散投資するバランスファンドの効用
内外資産への分散投資を実現するバランス型ファンドの品ぞろえは多い。国内株式・国内債券・先進国株式・先進国債券・新興国株式・新興国債券・国内REIT・海外REITの8つの資産を対象とした「8資産分散」や、国内株式・国内債券・海外株式・海外債券・国内REIT・海外REITの「6資産分散」、あるいは、国内株式・国内債券・海外株式・海外債券の「4資産分散」など、対象資産の数にも選択肢があり、ここに「金(ゴールド)」などコモディティを加えるということもできる。
ただ、これらバランスファンドはここ数年はさっぱり人気がなかった。特に、2022年は株式も債券も同時に値下がりするバランスファンドにとって最悪の市場環境であり、「株式のパフォーマンスがこれほど好調な時に、わざわざ債券を加えてパフォーマンスを悪化させる必要はない」という考え方が強まっていたためだ。しかし、過去3年~5年ではなく、過去10年~20年という長期で考えると、必ずしも株式優位の投資環境が続いていたわけではない。
国内外の株式や債券に広く分散投資する「ハッピーエイジング」というバランスファンドのシリーズがある。内外株式への投資比率が90%の「ハッピーエイジング20」、同70%の「ハッピーエイジング30」、同50%の「ハッピーエイジング40」、同30%の「ハッピーエイジング50」、同10%の「ハッピーエイジング60」という5本のファンドでシリーズが構成されている。これは、20代、30代という若い時代はリスク資産である株式への投資比率を高くとることができ、50代、60代では株式への投資比率を抑える方が良いという年代ごとのリスク許容度を反映したポートフォリオ内容にしているためだ。
このシリーズのパフォーマンスを過去3年間で比較すると、株式の組み入れ比率の高い「ハッピーエイジング20」の成績が一番よく、「ハッピーエイジング60」の成績が最低になるということになる。ところが、より過去にさかのぼって運用成績を調べると、たとえば、2018年に米中貿易摩擦の激化で株価が低迷した年は、「ハッピーエイジング20」はマイナス15.52%で「ハッピーエイジング60」はマイナス1.74%だった。株式の組み入れ比率が低いほどマイナス幅が小さくなっている。株式優位な環境が数年にわたって続いたということであれば、反対に株式が債券に劣後するという環境が数年にわたって継続するということもあり得る。