「予防歯科」と「歯科検診」の違いはご存じですか? 目的やメリット・デメリットも歯科医が解説!
年代別でみる予防歯科の重要性 子どもと大人で予防歯科はどう変わる?
編集部: 大人と子どもでは、予防歯科のアプローチの仕方にも違いはあるのでしょうか? 山田先生: 違いはあります。簡単に言うと、子どもの場合は発達と成長の促進、成人、特に高齢者の場合は口腔機能低下の防止が重要になっていきます。 編集部: 子どもの予防歯科について、もう少し詳しく教えてください。 山田先生: 子どもの予防歯科については近年、従来のむし歯予防に加えて、「口元の健やかな成長」という新しい視点が注目されています。具体的には、歯並びや噛み合わせ、そして顔の骨格全体のバランスが取れた発達を促すことが、小児における予防歯科の主流となっています。もちろん、すべての子どもが完璧な歯並びを実現できるわけではありませんが、早期から予防的なアプローチを行うことで、将来的な問題を軽減できる可能性が高まるでしょう。 編集部: では、大人や高齢者の場合はどうでしょうか? 山田先生: 成人や高齢者の場合、予防歯科の最大の目標はお口の機能低下を防ぐことです。具体的には、誤嚥性肺炎や寝たきりを防ぎ、健康寿命を延ばしていくことが焦点となります。したがって、今後はむし歯や歯周病だけでなく、「お口の老化」にも注目していくことが重要です。 編集部: お口の老化とは、具体的にどのような状態を指すのでしょうか? 山田先生: 高齢者の場合、「むせやすい」「飲み込みにくい」というのを主訴に歯科医院を受診するケースも多いのですが、これではかなり遅いと言えます。そうなる前に、唾液の出方や舌の動き、飲み込み方に変化がないかを予防歯科で定期的にチェックしてもらうことが、機能低下を防ぐカギとなります。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 山田先生: この記事を読んでいる人の多くは、高い予防意識を持っていると思います。私が一番伝えたいのは、人生をかけて「この先生」という歯科医を1人見つけてほしいということです。予防歯科の本質は「問題が起こる前に対処すること」ですから、将来を予測し、今は見えない問題でも的確に指摘できる歯科医が理想的です。そういう先生に出会えたら、その歯科医と二人三脚で、長期的な視点でお口の健康維持に取り組んでいただきたいと思います。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]