「予防歯科」と「歯科検診」の違いはご存じですか? 目的やメリット・デメリットも歯科医が解説!
予防歯科にはどんなメリットがある? 全身の健康への影響は?
編集部: 予防歯科を受けることで、具体的にどのようなメリットが期待できますか? 山田先生: 予防歯科はまだ症状がない段階から始められ、その過程で健康に関する知識が増えることが一番のメリットだと思います。体の健康は知識があって守られるものですから、専門家から正確な情報を得られるというのは大きな価値があるといえます。 編集部: なるほど、まずは知識を得ることが重要なのですね。そのほかに、どのようなメリットがありますか? 山田先生: 一般的な知識を得たうえで、次に個々の状態にあわせた情報や資料、予防プランを提供してもらえるのも大きなメリットです。これにより、むし歯や歯周病になる前に予防ができますし、仮にむし歯や歯周病になっても軽度の段階で食い止めることができます。 編集部: 一方で、予防歯科は「何も症状がない段階で始める」という点にハードルの高さを感じるのですが、その点はいかがでしょうか? 山田先生: そうですね。たしかに「痛くもないのに、なぜ歯医者に行かないといけないのか」と腰が重くなりがちなのが、予防歯科のデメリットとも言えます。ただ、それも結局のところ、予防歯科の重要性を知らないから「面倒くさい」と感じるのだと思います。少し面倒だと感じても、その先の目的や意義が理解できたら、文句を言いながらも通院する人がほとんどです。したがって、正しい知識を得ることが、予防歯科のデメリットを克服するカギになるでしょう。 編集部: 予防歯科に通うことは、全身の健康にも何か良い影響があるのでしょうか? 山田先生: はい、全身への影響も大きいと思います。特に歯周病に関しては近年、心筋梗塞や脳卒中、認知症など全身の病気との関連が指摘されています。一方で、患者さんの中には、このような全身への影響をまだ知らない人も多いようです。大病を患って初めて歯周病との関連を知り、「もう少し歯の健康に気をつけておけば」と後悔する人は少なくありません。 編集部: そのあたりは、年齢層によっても受け取り方が違うかもしれませんね。 山田先生: そうですね。例えば、50代くらいだと親の介護がすでに始まっていて、自分の親の状態を見て「ああはなりたくない」と感じている人もいらっしゃると思います。「若いうちからお口の健康に気を付けていれば、今の状態を防げたのかも」という気づきを得れば、ご自身の今後を大きく変えるきっかけになるかもしれません。また、近年は民間の生命保険会社も歯の健康に注目しており、永久歯の本数で保険料が割引されるサービスも話題になっています。 編集部: 歯の健康が保険料に影響するとは驚きですね。 山田先生: 歯の健康は単に食事を楽しむだけでなく、全身の健康、さらには経済的な面でも重要になってきています。これからは、自分の資産を守る意味でも、歯の健康を保つことが大切になってくるでしょう。