楽天に屈辱的超前進外野守備シフト……12戦連続白星無しでオープン戦最下位確定の巨人は大丈夫なのか?
巨人は14日、無観客の東京ドームで行われた楽天とのオープン戦を3-3で引き分け、今日15日の1試合を残してオープン戦最下位が確定した。4つの引き分けを挟み、12試合連続白星なし。新型コロナウイルスの影響で20日に予定されていた開幕が延期されているが、「巨人は大丈夫か?」の声が挙がっている。
楽天が異例の超前進外野守備でサヨナラ阻止
原監督は勝ちにいった。3-3で迎えた9回裏。先頭の代打・吉川大がセンター前ヒットで出塁すると、続く北村に送りバントをさせた。一死二塁で若林。だが、ここで楽天が奇策ともいえる外野シフトを敷く。外野を通常の前進守備の隊形より、さらに4、5メートル前に守らせる超前進外野守備シフトを取ったのだ。 センターの山崎幹は、もうセカンドベースのすぐ後方くらいの位置にいた。少しいい当たりのフライで外野の頭を抜けるが、外野の前のヒットでは、二塁走者はホームインできない。楽天の三木新監督は抑えの左腕・高梨と打者・若林の力関係を考慮した上で、異例の守備シフトを仕掛けた。巨人ベンチでは原監督は思わず苦笑いを浮かべたが、逆の見方をすれば、オープン戦といえど、天下の巨人が舐められたのだ。屈辱的シフトである。 若林の打球は高梨の足元を襲うが、うまくさばかれた。抜けていても、この超前進外野守備シフトではサヨナラは無理だっただろう。二死となり、この試合で、本塁打を放っているベテランの中島は、申告敬遠。今季は再び捕手として起用されている大城が打席に入るが、二死となっても、外野シフトは1メートルほど下げただけだった。 大城が四球を選び満塁となって、続く石川の渾身の打球が、ライトの頭上を襲う。「抜けた!」という当たりだったが、背走した辰己がファインプレー。巨人のサヨナラ勝利は、楽天2年目のホープのグラブに奪い取られた。原監督はまた苦笑いを浮かべていた。 これで2月23日に沖縄で楽天に7-1で勝って以来、オープン戦で白星がなく、ついに今日15日の楽天戦を残し最下位が決定した。2017年以来となるオープン戦最下位である。ちなみに、高橋由伸監督の就任2年目のこのシーズンは、史上ワーストの13連敗を喫するなどして2006年以来のBクラス(4位)に沈んでいる。 巨人の大物OBでヤクルト、西武で監督を務めた広岡達朗氏は、キャンプの段階から「準備不足」を指摘していた。 「坂本がキャンプの序盤からインフルで休んでいたが、考えられないこと。またこの時期にベテランを休ませる意味もわからない。王や長嶋は、たとえ1打席、2打席でも必ず試合に出た。準備不足に見える。若い人にチャンスを与えることは必要だが、しっかりとベテランのプレーを見せて、競争心をあおるべき。競争は若手同士でするのではなく、ベテランを突き上げていく形で生まれなければチームは強くならない」 この日は、“若手デー”で、坂本、丸、岡本、亀井らの主力組を休ませた。新外国人のパーラだけは、経験を積ます意味で4番で試合に出たが、広岡氏は、主力と若手の埋まらぬ実力差を問題視した。