【「夕刊フジ」休刊で岐路に立つ夕刊紙】 「日刊ゲンダイ」寺田俊治社長インタビュー「 “大新聞が書かない本当のこと”を書く。これが原点です」
日刊ゲンダイ・寺田俊治社長(65)は「正直言って残念です」と言い、東京スポーツ・平鍋幸治社長(58)は「ついに来たかと思いました」と語った。1969年の創刊以来、半世紀以上の歴史を誇った夕刊フジが2025年1月末日をもって休刊となる。この厳しい現実を、夕刊紙のライバル2紙の経営者はどのように受け止め、何を武器に、いかにして活路を切り拓こうとしているのか。昔日刊ゲンダイの記者として21年間(1986~2006年)、今東スポにフリーのコラムニストとして15年間(2010年~現在)書き続けているスポーツライターの筆者が忖度、駆け引き一切無し、ど真ん中の直球勝負で迫った。 【写真を見る】一面には毎夕、政権批判、与党批判の激烈な見出しが並ぶ 1月4日の配信では、寺田社長のインタビューをお届けする。【赤坂英一/スポーツライター】【前後編の前編】 ***
日刊ゲンダイは同じタブロイド紙として、常に夕刊フジのライバルと自負してきた夕刊紙である。私自身が入社した1986年、編集会議で編集局長が「夕刊フジをカネ出して買うような利敵行為をするな」と、大真面目に言っていたほどだ。 あれから約40年が経った今、日刊ゲンダイを発行する(株)日刊現代社長・寺田俊治氏(65)は夕刊フジの休刊をどう受け止めているのか。 「やっぱり、正直言って残念ですよね。夕刊フジさんのほうが(1975年創刊のゲンダイより)ちょっと早く(1969年に)始めた。言わばあちらが先輩で、こちらも追いつき追い越せで、切磋琢磨しながらやってきましたから。以前から、そうなるだろうという話は聞いていましたけどね。産経(新聞社)さん本体の中で、どういう判断がされたのかはわかりません」
配送網の再構築
夕刊フジの休刊により、日刊ゲンダイ、東京スポーツが最も影響を受けるのは配送コストが上がることだといわれる。これまでは夕刊3紙がトラックや運転手にかかる経費を3等分してきたが、今後は2等分になり、それだけ両社にかかる負担が大きくなるからだ。 7月26日、フジ休刊を一速く報じたデイリー新潮も、配送の問題がゲンダイにとっても大きな打撃になりそうだと指摘した。しかし、寺田社長によると、事はそう単純ではないらしい。また、善後策も着々と進めているという。 「基本的に、配送ルートは一つではなく、いろいろなものがあるんですよ。ウチが単独でやっているもの、フジさんと組んでいたもの、東スポさんも含めた3社でやってきたもの、とね。しかも、東京と大阪では配送のやり方が全く違う。今は、そういう様々なルートを組み直す作業をしています。コストが増えるエリアもあるだろうし、フジさんと組んでいた便が東スポさんになってコストの変わらないところもあるかもしれない。最終的な形はまだ見えていませんが、より効率的な配送網の再構築を目指し、なるべくコストを増やさないよう努力しているところです」