アジア大会選手村の整備断念、組織委員会理事会で確認 大村知事「ホテル利用し円滑に開催」
2026年に愛知県内で開催予定のアジア・アジアパラ競技大会の組織委員会は27日、名古屋市内で理事会を開き、同市港区で計画していた選手村の整備を取りやめる方針を確認した。今後、大会の主催者であるアジア・オリンピック評議会(OCA)と最終調整に入る。会長の大村秀章・愛知県知事は「スポーツ大会に関する厳しい世論がある一方、原材料費の高騰などで建設関係費が大幅に上昇している。選手村は整備を行わず、ホテルを利用して選手団の宿泊を確保し、円滑に運営したい」と述べた。
物価高騰や東京オリンピックの汚職事件が影響
アジア大会は26年9月から10月にかけ、名古屋市の瑞穂公園陸上競技場をメイン会場に県内各地で開催。OCA加盟の45カ国・地域から選手約1万人の参加を見込んでいる。当初の大会経費は総額850億円の見積もりで、愛知県が400億円、名古屋市が200億円を負担し、残り250億円を入場料やスポンサー収入でまかなう計画だった。 しかし、昨今の物価上昇や人件費の高騰に加え、東京オリンピックを巡る汚職事件の影響でスポンサーからの協賛金確保が難しくなり、収支見通しが厳しい状況になった。 選手村は港区の名古屋競馬場跡地に約300億円をかけて建設し、大会後に分譲マンションなどとして利用する計画だった。名古屋市によると、中部電力が主体となって行う地区全体の再開発は原則、継続される方針。
ホテルは100施設ほどリストアップ
理事会は会長の大村知事と会長代行の河村たかし・名古屋市長をはじめ、約30人の役員らがオンライン参加を含めて出席。選手村のほか、広告代理店の再選定などの議案が冒頭あいさつ以外、非公開で話し合われた。 事務局によると、選手村の整備断念そのものに対して反対意見はなく、「ホテル利用になった場合も選手同士が交流できるよう検討すべきだ」などの意見が出されたという。ホテルについては県内で100施設ほどがリストアップされ、具体的な利用交渉などは今後進んでいく見通し。 (関口威人/nameken)