深宇宙に開かれた“港”「宇宙エレベーター」 大林組が語る2050年の未来
クライマーについて、われわれは現状、ケーブルを複数の車輪ではさんで動かす、というメカニズムを考えていますが、この技術開発を今後進める必要があります。数万kmも離れたところを走るクライマーに電力を無線で供給する技術もまだ存在しません。 技術の進展は、きっかけやプレッシャーによって促される面があります。CNTの開発も結晶の長い製品に対するニーズがあれば、現状よりも早く進むことが期待されます。たとえば、橋のケーブルや航空機の機体に使用されるなど、幅広く普及する見込みが出て来れば、研究開発にもはずみがつくでしょう。 宇宙エレベーターの研究開発は、まだまだチャレンジングなプロジェクトですが、実現すれば、世界は大きく変わるでしょう。
人類が宇宙を目指す理由、それは「進化の道筋で決められている」
最後に、石川氏に「人類はなぜ宇宙を目指すのか」その理由を聞いた。 ズバリ、人類が持っている本能だと思います。私は、生命がどのようにして地球で生まれ、そして進化を遂げたのか、その原動力に興味を持っています。昔、微生物が生まれて、なぜそこで終わらなかったのか。それは、人類にまで進化して、さらに宇宙を知りたいという欲望があるわけなんです。 それが何故なのか私には説明できませんが、人類はやがて地球から出て、まず月や火星に行き、将来はさらにその先の宇宙を目指すように、進化の道筋で決められているのだと思います。 (取材・文:具志堅浩二)