ルイ・ヴィトンのLVMHが直面する「中国業績の悪化」という転換点…AI戦略で挽回できるか
こんにちは。パロアルトインサイトの石角友愛です。今日は、ファッションとテクノロジーについて書きたいと思います。ルイ・ヴィトンやディオールをはじめとする大手ブランドを抱えるコングロマリットのLVMHは今、大きな転換期を迎えていると言われます。その理由が「中国市場の変化」です。 【全画像をみる】ルイ・ヴィトンのLVMHが直面する「中国業績の悪化」という転換点…AI戦略で挽回できるか 10月15日に発表された2024年第3四半期の決算では、ファッションおよびレザー製品部門の売り上げが前年比で5%減少し、総売上も3%減少したことが分かりました。同社のジャン=ジャック・ギュイヨニーCFOは、この原因の一端として中国と日本市場の業績が特に悪化したと述べたと報じられています。 LVMHにとって、中国は長年にわたって最大の成長エンジンでした。過去数年間、同国での売り上げは二桁成長を遂げ、パンデミック時でも国内消費者の購買力に支えられていたのです。しかし、近年では情勢の変化に伴い以下のような具体的な課題が現れています。 1. 経済の不安定さ: 中国における不動産バブルの崩壊、高い若年失業率、中間層の経済苦境が、消費者の信頼を大きく損なっています。これにより、富裕層を含む消費者が支出に慎重になり、上海や北京といった主要都市のショッピングモールでは来店者数が減少していると言われています ハイブランド商品などの派手な買い物が抑制される現象のことを、コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーは「ラグジュアリーシェイム(贅沢品への羞恥)」と呼び、世界金融危機時のアメリカで見られた現象に似ていると言われます 2. 消費者行動の変化: コロナショック後、海外旅行が再開されたことで、中国の消費者は海外(特に日本や韓国)での買い物が中心となりました。これにより、以前は中国国内での消費に集中していた購買力が海外に分散し、国内市場での売り上げに影響を与えています たとえば、国慶節の期間中「(日本国内の)ルイ・ヴィトンの店舗が中国人でいっぱい」というハッシュタグがWeiboのトレンドトピックを席巻し、中国のソーシャルメディアプラットフォームで870万回以上のクリックを集めたと報じられました