外務省がアフリカで行った衝撃の“証拠隠滅”騒動 「旧統一教会の痕跡を消し去れ!」
なぜ隠蔽工作に踏み切った?
では、女性連合日本支部は、なぜディオプ氏個人が設立した団体をホームページで紹介したのか。取材を申し込むとこのような回答がきた。 「JAMOOプロジェクトは1995年から女性連合が企画立案して行ってきたプロジェクトです。『JAMOO2』は自立した現地NGOが運営しており、われわれは運営を支援する立場にありました。NGOの代表者は、われわれがもともと運営する『JAMOO1』の校長でもあり、彼女から支援も依頼されたためです。そのため、開校当初の運営資金や、先生たちの給与は女性連合が支援しました。それらの資金は全国の女性連合会員からの支援によるものですので、ホームページに掲載していました」 さて、このような複雑な背景を理解した上で、ここで新たな疑問が浮かぶ。 あくまで申請書類上は「日本政府が金を出した先は女性連合ではない」というのは紛れもない事実である。ディオプ氏が民間の一女性の立場で立ち上げたNGO団体によって設立された学校だからだ。国会で共産党議員にいくら追及されたところで突っぱねればいい。たしかにディオプ氏の“属性”は女性連合だが、それはそれ、これはこれ。 なにしろ、そういう形にすることを勧めたのは、他ならぬ日本の外務省なのである。少なくとも外務省は、国際協力局の課長をわざわざセネガルまで派遣し、「女性連合の痕跡をすべて消せ」などとディオプ氏を脅す必要もなかったはずだ。 しかし、外務省は「隠蔽工作」に踏み切った。どうして、一見、無駄にも映る工作をしなければならなかったのだろうか。
「外交の岸田」が窮地に
この謎を解く鍵は、23年3月29日の衆院外務委員会にある。先に触れた同年3月17日の政府回答に納得できない穀田議員は、外務省が「ずさんな調査」をしてお茶を濁すのは、このODAの承認をしたのが外務大臣時代の岸田首相だったからだと主張。「岸田さんに関わることについては黙っておこう」という忖度(そんたく)が働いて調査がねじ曲げられたのではないかというわけだ。そして、ODAの返還を要求すべきだとこれまで以上に政府を責め立てたのである。 その翌日、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」も「ODA 統一協会関連団体への供与 岸田外相(当時)が関与」(23年3月30日付)と報じた。 つまり、外務省は調査結果を公表し、外形上、「JAMOO2」と旧統一教会が関係ないことを示せば鎮火できると思っていたところ、そうはならないどころか、攻撃の矛先が岸田首相へ向けられてしまったのだ。 当時、G7広島サミットを1カ月後に控えていたタイミングで、外務省としては「外交の岸田」が窮地に陥る危険性のある火の粉はどうにかして払わなくてはいけない。とはいえ、「JAMOO2」は女性連合が直接的に運営しているわけではないので、穀田議員が主張するODAの返還請求などできるわけがない。