RZの魂を受け継いだ、ヤマハ最後の2ストロークスポーツバイク「R1-Z」
アルミフレーム、フルカウル、45PSエンジンというフルスペックの2ストローク250ccレーサーレプリカの中でロングセラーを続けたRZ250R。R1-ZはそのRZのポジジョンを引き継ぐと共に、新たに巻き起こったネイキッドバイクブームの中でも存在感を示した稀有な1台である。 【画像】「R1-Z」のディテール&関連モデルをギャラリーで見る(26枚) 文/Webikeプラス 後藤秀之、取材協力/バイク王つくば絶版車館
2ストロークのヤマハの意地が生んだR1-Z
2ストロークエンジンが表舞台から姿を消して20年以上の時間が経過したが、ヤマハ発動機は元々2ストロークのスポーツバイクを得意とするメーカーであった。その伝説の始まりとも言えるのは1980年に発売されたRZ250であり、後にブームとなるのレーサーレプリカの原点と言われている。 レーサーレプリカがアルミフレーム+フルカウルの時代に入ると、RZはTZRへと主役の座を明け渡してスタンダードなスポーツバイクというスタンスでの進化を続けた。そして1988年に発売された17インチホイールを装備した3HM型を最後に、RZはその歴史に幕を下ろした。 1989年にカワサキがゼファーを発売すると、それまで高性能化、そして過激化の一途を辿っていたレーサーレプリカブームの勢いは急速に衰え、ネイキッドブームが巻き起こった。各メーカーが400ccと250ccの4ストロークネイキッドモデルを次々に発売する中、2ストロークエンジンを得意とするヤマハは1990年にRZのスタンスを引き継ぐR1-Zを発売した。
レプリカとは一線を画した、独自のスポーツバイク
RZが登場した時代にはまだネイキッドという言葉は使われていなかったが、RZは元々カウルレスを基本としていた。RZ250RRはフレームマウントのカウルを装備していたが、1XG型以降はカウルレスモデルのみが生産されていた。そして、最後まで1983年に登場した1AR型のスチールフレームやエンジンをベースに、改良が加えられつつ使われていた。そして、そのフルモデルチェンジ版とも言えるR1-Zは、ヤマハがネイキッドブームに対して出したひとつの答えと言えた。 R1-Zのネーミングは、「国道1号」を意味する1とRZを組み合わせたものであり、明確にRZの後継モデルと位置付けられていたと言えるだろう。しかし、搭載されたエンジンは同じ並列2気筒ではあるものの、1KT型のTZR250系をベースにしたものだった。ちなみに、29L型RZ250Rのエンジンはピストンリードバルブ方式で、ボア×ストロークが54×54mmの247cc。それに対して、1KT型TZR250はクランケースリードバルブ方式で、56.4×50mmの249ccというショートストロークに設定されている。R1-Zにはより中低速域を重視した、TDR250に近い仕様で搭載されている。 このエンジン搭載するのは新設計のスチール製トラス構造フレームで、スイングアームもトラスタイプのものが組み合わされる。サスペンションはフロントが38mm径の正立タイプフロントフォーク、リアはリザーバータンク付きのショックユニットを採用したモノクロスサスペンションとなる。ブレーキフロントが対向4ポットキャリパーを使用したダブルディスク、リアは対向2ポットキャリパーを使用したシングルディスクとなる。