【特集】結局のところ「コンピューターRPGの難易度」って?変遷の歴史に考えを巡らす
国産PCでのRPGブーム到来。コンピューターRPGの難易度は1980年代に頂点に達していた!?
時代は下り、コンピューターRPGが日本に輸入され、そして『ザ・ブラックオニキス』、『ハイドライド』、『ドラゴンスレイヤー』(ともに1984年)といった国産のコンピューターRPGが作成されるようになるのですが、ここで挙げておきたいのが「終了認定証」の存在です。
『ザ・ブラックオニキス』は早期クリア者に実際の黒瑪瑙をプレゼントするというキャンペーンを行っており、また『ハイドライド』もゲームクリア者に対し「終了認定証」を発行、また行き詰ったプレイヤーにはヒント集を送付するというユーザーサービスを行っていました。現代のRPGではほとんど行われることのないサービスですが、これは裏を返せば「当時のRPGはそう簡単に解けるものではない」「解けること自体が一種のステータス」であったことを如実に示しています。
「RPGを解けることはステータス」という価値観はコンピューターRPGの難易度の向上を招き、次第に「これ本当に解けるの?」というようなゲームも現れます。
そのコンピューターRPGの難易度のインフレの極北が『ロマンシア』(1986年)であり、かわいらしいグラフィックとは裏腹に取り返しのつかない要素やノーヒントの謎解きが多数散りばめられ、その上セーブ機能もないという、「まさに外道」としか言いようがない何かとなってしまいました。
しかしながら、こうしたコンピューターRPGの高難易度化の風潮に疑問を持った開発者もいたようで、『夢幻の心臓II』(1985年)はウルティマ型の見下ろし画面と最大5人のパーティ戦闘を組み合わせ、丁寧にプレイすれば誰にでもクリアできるRPGとして後の国産コンピューターRPGに大きな影響を与えました。
そして『ロマンシア』に続く日本ファルコムのゲーム『イース』(1987年)は「RPGは今、優しさの時代へ。」をキャッチコピーとし、理不尽な謎解きを極力減らしてRPGの高難易度化の流れに歯止めをかけた作品となり、2024年現在でもシリーズが続く名作となりました。
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