“運転席に誰もいない”自動運転「レベル4」のデモ車に試乗
[映像]自動運転「レベル4」のデモ車に試乗
自動運転車のデモ走行やスマートバス停などが披露された交通イベント「ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ2019(スカモビ)」が1月24~26日の3日間、神奈川県横須賀市で開かれた。運転手がいない「レベル4」の自動運転の車が公道を走行するデモに試乗した。
約1キロの公道をコースに設定
試乗した自動運転車は、助手席に自動運転システムのオペレータが乗っていたものの、運転席には誰もいなかった。 自動運転のレベルは、加減速または左右の方向転換のいずれかを自動で行う「レベル1」から、完全に自動運転化された「レベル5」までの5段階に定義されている。今回の試乗したデモ車は、限られた範囲でシステムがすべての運転操作を行う「レベル4」に相当し、運転手は乗車しない。 その一つ前の「レベル3」でも同様にシステムが運転するが、緊急時はドライバーが代わって操作する必要があり、運転席に座っていなければならない。 デモ車の自動走行が始まった。ハンドルが勝手に左右に回り、車が進む方向を制御する。そして運転手のいない車は、公道へ出た。一気に加速する。こうしたスピードの加減速には、アクセルやブレーキペダルも連動しているのかと思って運転席の足元を見たが、動いていない。電気的に制御しているためだという。 車が減速し、進行方向の左側にあるゴール地点へ入るために歩道をまたごうとした時、車が急停止した。外を見ると、施設の入口付近の歩道の両サイドには、通行人を整理する黄色い上着のスタッフがおり、このうち右側のスタッフの後方には通行人がいた。ほどなく、車は安全を確かめ終えたかのように動きはじめた。 デモのコースは長さ約1キロメートルで5分程度の走行だった。試乗してみて、運転の不安定さや危険さは特に感じなかったが、今回のデモに使われたのは車の通行量の少ない片側1車線の道路で、車線変更など複雑な操作が必要のないコースだったことは割り引くべきだろう。 スカモビを主催したのは、横須賀市やICT研究を推進するYRP研究開発推進協会らでつくる「ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ推進協議会」。同協議会は、地域のニーズに合わせたスマートモビリティの開発を通じた新規ビジネスの創出や社会的課題の解決を目指している。今回のイベントでは、NTTドコモなど協議会に関わる各社が新しい技術やサービスを展示した。 自動運転車のデモに向け、NTTドコモは、データ伝送を低遅延化する技術や、従来のLTEでより安定した高速通信を可能にする技術を用いて、高速大容量の第5世代(5G)移動通信システムの性能に近いネットワークを準備した。緊急時に遠隔操作でブレーキを掛けた場合でも、人間が運転する自動車(時速30キロ走行と想定)と同等の距離で停止できる性能を実現したという。 同社第一法人営業部の末次光担当課長(43)は「自動運転時代には低遅延で大容量の通信の実現が必要だが、必要なすべての情報を配信するとトラフィックに影響があると考えられる。より効率的に配信できる方法を研究していきたい」と話していた。 (取材・文:具志堅浩二)