3種の肉の旨みが溶け出す!〈普通の土鍋で作る〉本格煮込み料理レシピ
3種の肉を水から煮るだけ。透き通ったスープもごちそう
ボッリートミスト [材料/2人分] ※土鍋は1~2人用、7号鍋を使用(直径約22㎝、容量約1.5ℓ) (A)豚ばらかたまり肉(または豚肩ロースかたまり肉)…150g (A)牛かたまり肉(ステーキ用など)…100g (A)手羽元…4本 (A)玉ねぎ…100g(中サイズ、縦1/2個) (A)ローリエ…2枚 (A)パセリの茎…1本分 (A)タイム…2~3本 ※ローリエは必須。ほかに、セロリの葉、ローズマリーなどでもよい。 (A)水…500㎖ (A)塩…5g(小さじ1弱) パセリのみじん切り…適量 オリーブオイル、塩、こしょう…各適宜 [簡易モスタルダ] りんごジャム(プレザーブタイプ)とマスタードを同量ずつ混ぜる。
[作り方] 1.豚肉、牛肉、玉ねぎはかたまりのまま土鍋に入れる。(A)のほかの材料もすべて加え、ふたをして中火にかける。沸騰したらふたを取って弱火にし、あくをすくいながら10分ほど煮る。 2.あくが出なくなったら(水分が減っているようなら、ひたひたまで水を足す)、ふたをしてごく弱火で30~50分煮る。 3.肉がやわらかくなったら取り出し、玉ねぎは半分に、豚肉・牛肉は1~2㎝厚さに切って器に盛る。モスタルダを添え、パセリのみじん切りを散らして、好みでオリーブオイル、塩、こしょうをふる。スープは別の器に注ぎ、パセリのみじん切りを散らす。
肉も玉ねぎも丸ごと入れればOK! ローリエやタイムなど風味づけのハーブを入れることでよりおいしくなります。
肉はほろほろととろけるようにやわらかく、クリアなゆで汁は絶品スープに。お好みでオリーブオイルや塩、こしょうを足しても。
「かたまり肉を水からほったらかしでコトコト煮込むのは、ヨーロッパの家庭料理の基本中の基本です。コツはただひとつ、決してグラグラ煮立たせず静かに煮込み続けること。それによって肉はふっくらと煮え、雑味のないクリアなスープが取れるのです。日本ならではの土鍋がそんな西欧的な調理にもぴったり、というのはちょっと面白いですよね。 フランス生まれの「ポトフ」も実はそんな料理の典型で、(意外かもしれませんが)元々は野菜すら入れず、硬い牛肉の塊だけを水でひたすら煮た料理だったそうです。それと同じ系譜の料理が、イタリアではボッリートということになり、こちらは色々な肉や部位をミックス(ミスト)するのも一般的。いろいろ食べられて楽しいだけでなく、材料の組み合わせ次第でいくらでも気軽に安く作れる、とても合理的な料理だと思います。言わば“肉おでん”ですね。 おでんもそうですが、影の主役は煮汁のスープ。ボッリートミストのスープは、複数の肉の旨味が醸し出す、とても深くてクリアな味わいです。こんな素敵なコンソメスープには、なかなかお目にかかれるものではありませんよ!」(稲田さん)
教えてもらったのは……稲田俊輔さん いなだしゅんすけ/料理人、飲食店プロデューサー。南インド料理店「エリックサウス」総料理長。鹿児島県生まれ、京都大学卒。和食、フレンチ、洋食、インド料理などさまざまなジャンルのメニュー監修や店舗プロデュースを手掛ける。著書に『南インド料理店総料理長が教えるだいたい15分!本格インドカレー』(柴田書店)『チキンカレーultimate21+の攻略法』(講談社)ほか。新刊『個性を極めて使いこなす スパイス完全ガイド』(西東社)『ミニマル料理』(柴田書店)は2023年度レシピ大賞を受賞。