サントリーモルツのCM「うまいんだな、これがっ」はなぜ凄いのか?「心を揺さぶる文章」で最も大事なこと
それでも、誰も夢をバカにする権利はないはず。僕は泣くほどの悔しさを抱え、その悔しさを紙に書き殴りました。 悔しさや情けなさや弱音も、コンプレックスなどドロッとした感情さえも一度紙に書き出すことで、冷静に客観視することができます。 このバカにした奴らを見返せるほどのコピーライターに、「絶対になってやろう」と闘志を燃やしました。『スラムダンク』(井上雄彦、集英社)の「がけっぷち精神」のように、試合でもアウェー戦など、逆境で勝つほうがかっこいいなというイメージが浮かんできました。 ● 悔しさを燃料に「夢」をつかむべく コピーライターの学校に通う そして自分はこんな風に人の夢を笑ったり、バカにしたりする人間にはなりたくない。むしろ、誰かの夢を全力で応援できる人になりたいと思うようになりました。 夢を笑うな。夢と笑おう。 (藤田ニコル×SHIBUYA109/小藥元) まさにこの渋谷109のキャッチコピーのような感覚です。結果、自分自身もその悔しさを燃料に、夢につながりそうなことはなんでもトライしました。
それでテレビ局の報道カメラマンのアシスタントというハードなバイトに身を捧げたり、大学でもCMを研究するサークルを立ち上げたり、学生ながら単身で海外の広告祭を見に行くなど、がむしゃらにできることをやり続けることができました。 また、夢追いクリエーターとして、京都の小さなギャラリーで夢を応援する言葉の個展を開いたりもしました。 こうした夢へのがむしゃらな取り組みの1つとして、「コピーライター養成講座」という、そのままストレートな呼び名のコピーライターの学校に通うことにしたのです。 当時この講座では、いいコピーを書いた者には第一線で活躍する講師から「金の鉛筆」なるものが与えられる制度がありました。自分は中学からずっとこの広告の道に進むべく、研鑽を積んできたつもりでした。いろんな広告業界やクリエーターの本を読んで、学んできたという矜持があったのです。 しかし、講座が始まると、まったく評価されないのです。こんなはずじゃない、という思いが強く、焦りに変わりました。肩身が狭くなり、どんどん泣きそうになりました。