【闘体】まさか自分が全身性エリテマトーデスに 思えば高校生の頃から皮膚症状が…
病気に縁がなかった私が難病になるなんて
編集部: 入院治療をしたとのことですが、そのときの症状を教えてください。 陽子さん: 症状としては、倦怠感や易疲労感(いひろうかん)、蝶形紅斑、日光過敏などが常にありました。 また、数ヶ月にわたり微熱、関節痛、胸痛、息苦しさがあったので入院して、精密検査を受けました。胸膜炎と心膜炎を合併していたため、すぐにステロイドパルス療法を開始し、ステロイドの服用もはじめました。 編集部: 治療については医師からどのような説明がありましたか? 陽子さん: 「ステロイドパルス療法という強い治療でまずは炎症を抑え、その後はステロイドを内服にし、少しずつ減らしていく」と言われました。また、ステロイドを減らしていくとともに、再び悪化しないように免疫抑制剤の併用もおこなっています。 編集部: 病気が判明したときの心境について教えてください。 陽子さん: SLEの疑い段階のころは、今まで健康体で病院に行く機会もほとんどなかったので、まさか自分が難病になるなんて信じられませんでした。また、聞いたこともない病名で、とにかくネットで調べ尽くしたのを覚えています。 数ヶ月は、メンタル面でもつらかったですね。その後、たくさんの症状が出て、学業にも支障が出ました。確定診断が出た時は、ショックも大きく落ち込みました。しかし、それと同時に治療できればこの苦痛から解放されるという安心感も少しありました。
SLEの闘病体験から看護師の道を志す
編集部: 現在、体調や治療の状況はどうですか? 陽子さん: ステロイドのほかに免疫抑制剤・生物学的製剤を併用していますが、なかなか病状は安定せず、さまざまな薬物治療を受けながら寛解を目指しています。APSは軽症であるため、今のところ治療はおこなっていません。 編集部: 病気を抱えながらの生活は大変ではないですか? 陽子さん: SLEは、今の医学では完治できない病気ですし、もちろん楽ではありません。ただ、薬に頼らないと生きていけない身体ですが、その中で就職について考えたとき、「せっかくの人生を無駄にしたくない、後悔しない人生を送りたい」と強く思うようになりました。 編集部: 看護師を目指している(取材時)と聞きましたが。 陽子さん: はい。自分自身のこの経験を役立てる仕事がしたいと思ったので、看護学校の受験を決め、無事に合格することができました。家族からの反対もありましたが、大学を卒業してから看護学校に入学して、勉学に励んでいるところです。 編集部: 看護学校と治療の同時進行の生活はどうですか? 陽子さん: 学校と治療の両立は決して簡単ではありませんが、周りの人に支えられながら勉学に励むことができています。病気になったことでつらいことも多かったですが、その一方で考え方が大きく変わりましたね。 命について、生きることについてよく考えるようになって、時間も大切にし、たくさんの人に支えられて今の自分がいることを忘れず、悔いのない人生を送りたいと考えるようになりました。 編集部: 最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。 陽子さん: 内臓機能の病気は外見からはわからず、理解してもらえないことが多いのが現実です。熱や倦怠感など、ただの疲れや風邪と間違われやすいのですが、それはSLEの特徴的な症状です。 自分の身に少しでも異変を感じたり、それが長く続いたりするようであれば、躊躇せず病院を受診してほしいですね。