接触、ペナルティ乱れ打ちの大乱戦! ウェーレインが制してランク首位に浮上……タイトル争いは三つ巴|フォーミュラE第15戦ロンドンE-Prixレース1
フォーミュラEシーズン10の第15戦ロンドンE-Prixのレース1が行なわれ、パスカル・ウェーレイン(ポルシェ)が優勝を手にした。ウェーレインはこれでランキング首位に浮上し、日曜日に行なわれるシーズン最終戦に、チャンピオン獲得をかけて挑むことになった。 【リザルト】フォーミュラE第15戦ロンドンE-Prixレース結果 ロンドンE-Prixの舞台は、展示場でもあるExCeLセンターの周辺コース。一部展示場の室内も通る、1周2.09kmのサーキットである。土曜日と日曜日に1レースずつを行なう、ダブルヘッダーとしての開催だ。 第15戦のポールシッターは、ランキング2番手のミッチ・エバンス(ジャガー)。チームメイトであり、ランキング首位のニック・キャシディは予選で振るわず、17番グリッドからレースに挑むことになった。 決勝レースは、スタート直後から波乱の幕開けとなった。1周目にロビン・フラインス(エンヴィジョン)がクラッシュしてコントロールを失ったところ、サム・バード(マクラーレン)が行き場を失いストップ。バードは最後尾まで落ちたが、コースに復帰。一方でフラインスはコースを塞ぐように停まってしまったため、いきなりのセーフティカー出動となった。 5周目からレース再開。平穏なリスタートに見えたが、続く6周目、ジャン-エリック・ベルニュ(DSペンスキー)とジェイク・デニス(アンドレッティ)、オリバー・ローランド(日産)とアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(ポルシェ)がクラッシュ。このほかにも、コースの各所で接触が相次ぐ、荒れたレース展開となった。 この展開をかい潜るかのように、キャシディは10番手付近までポジションを上げることに成功した。ただキャシディは、レース中に2回に分けて6分間使うことが強いられているアタックモードをうまく起動できないというトラブルに見舞われ、アタックゾーンを通過する度にポジションを落としてしまう”だけ”となってしまう。なんとか2回のアタックモードを起動し終えた段階でキャシディは15番手まで後退してしまった。 優勝争いはエバンス、セバスチャン・ブエミ(エンヴィジョン)、パスカル・ウェーレイン(ポルシェ)の3人によって繰り広げられた。一時ブエミが首位に立つシーンもあったが、PPのエバンスが取り戻すと、その後方からウェーレインが虎視眈々と狙い、ついにオーバーテイク。エバンスとの差を広げて順位を落とさずアタックモードを起動させるなど、頭脳的なレースを繰り広げた。 2回のアタックモードを使い切ったウェーレインは首位をキープ。エバンスを徐々に引き離していった。一方でエバンスの後方からはマキシミリアン・ギュンター(マセラティ)が急接近し、30周目にオーバーテイクを成功させた。 ただその直後、ノーマン・ナトー(アンドレッティ)とサッシャ・フェネストラズ(日産)が接触。コースの各所にデブリが落ちていたこともあり、このレース2回目のセーフティカーが出動した。これにより、ウェーレインのリードは消える格好となった。 34周目からレースが再開されると、ウェーレインを追撃しようとしていたギュンターが突如スローダウン。ギュンターは「ギヤボックスのトラブルだ」と無線で訴え、マシンをコース上に停めた。この車両回収のため、フルコースイエローが宣言された。また後方では、ベルニュとユアン・ダルバラ(マセラティ)が接触。また序盤のセーフティカー出動により、レース距離が当初の37周から39周に増やされることが宣言された。 残り3周でフルコースイエローが解除。ウェーレインが必死に逃げ、エバンスがこれを追いかけていく展開となった。 しかしウェーレインはなんとか逃げ切り、今季3勝目。これでドライバーズランキング首位に浮上して、現地時間日曜日に行なわれるシーズン最終戦に挑むことになった。エバンスが2位に入り、ドライバーズランキングでも2番手を堅持。ランキング首位だったキャシディは、他車のペナルティなどにも助けられて7位となったが、ランキングは3番手に落とした。 チャンピオン争いはこの3人に絞られ、文字通り最終決戦を迎えることになる。 なお今回のレースで3位はブエミで、今季開幕戦以来の表彰台となった。マヒンドラのニック・デ・フリーズが4位、エドアルド・モルタラが5位となった。
田中健一